成果概要
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ウイルス-人体相互作用ネットワークの理解と制御[2] 宿主応答ネットワークの解析
2025年度までの進捗状況
1. 概要
各種ウイルス感染モデルを用い、自然免疫細胞や記憶細胞などの遺伝子発現を単一細胞レベルで解析し、数理・イメージング研究者と連携して応答パタンの可視化と数理モデル化を進めました。腸内細菌叢の変動が感染重症化に与える影響や、ヒト検体を用いた加齢に伴う免疫応答の変化などについても解析を進めました。

2. これまでの主な成果
複数のウイルス感染モデルにおいて、自然免疫細胞や獲得免疫細胞、および腸内細菌叢が感染に対してどのように応答し、症状の軽重に関与するかについて単一細胞レベルでの解析を実施し、各モデルにおける特徴的な宿主応答のメカニズムに関する知見を得ました。 その結果、高齢など感染前から存在する特定の状態(図1)や腸内細菌叢の構成(図2)が、その後の重症化リスクと強く関連することを示しました。


また、ウイルス感染時において、特定の免疫細胞群が病態進行に寄与することが確認されました。(下図:赤色で示す重症化群において赤丸でかこった細胞集団)。これらの特異的免疫細胞は、正常な防御応答とは異なる動態を示しており、重症化リスクを増大させる主要な要因として機能していることが示唆されます。

3. 今後の展開
前半5年で得られた単一細胞レベルの免疫応答、腸内細菌叢、および免疫支持細胞の解析成果を、後半5年における社会実装を駆動する強力なトランスレーショナル・エンジンとして展開します。今後は、動物モデルで得られたこれらの知見を、革新的基盤テーマである 「116-1:動物–ヒト対応写像に基づく感染応答マッピングと統合データフレームワークの開発」 の枠組みへと流し込み、全国多施設から収集するヒト臨床検体データと直接照合して客観的な妥当性を検証する「相互フィードバック解析」を強力に推進します。
具体的には、感染後の細胞状態やマイクロバイオームの構成が、ウイルス感染に対してどのように応答し重症化の引き金となるのかを、 「115-1:感染宿主応答の分子ネットワーク解析と代謝・シグナル統合マップの構築」 と連動して詳細に解明します。免疫細胞・支持細胞・腸内細菌叢が織りなす複雑なネットワークの動的な変化を時系列で可視化し、数理モデル化することで、感染の超早期段階(未病状態)におけるリスク予測の高精度化を進めます。さらに、バイオと数理が連動したタスクフォース体制のもとで、得られた細胞動態や分子機構の知見を 「111:宿主応答パタンに基づく治療標的候補の体系的抽出と優先度付け」へと直結させ症状が悪化する前に先制介入戦略を可能にする、社会実装の出口へとつなげていきます。