成果概要

サイバネティック・アバターのインタラクティブな遠隔操作を持続させる信頼性確保基盤[1] スマートスポットセル(SSC)の構成技術

2023年度までの進捗状況

1. 概要

サイバネティック・アバター(CA)の遠隔操作の信頼性を確保するためには、CA制御のための無線通信技術の高信頼化が不可欠です。無線通信の性能は、CAと基地局間の距離、CAの密集度、周辺環境などの条件によって変動します。また、CAのサービスを受ける人とのやりとりなどの内容によって制御の応答時間やデータ通信容量など、無線通信の性能に関する要件も異なります。CAの遠隔操作を持続させるために、信頼性の高いローカル5Gに加えWi-Fiも配置し、CAの動作や密集度に応じて柔軟に通信エリアを構築するスマートスポットセル(SSC)を開発しています(図1)。また、SSCの効果的な運用を実現するため、電波環境や通信状況を可視化し、CA通信の信頼性を事前に評価できるCA信頼性評価シミュレータを開発しました。これにより、CA遠隔操作に必要な通信品質を安定的に確保するためのSSCエリア構築プロセスを効率化できることが期待できます。

図1 ローカル5GとWi-Fiによるスマートスポットセル
図1 ローカル5GとWi-Fiによるスマートスポットセル

2. これまでの主な成果

大規模なCA運用環境では100体以上のCAが運用されることが想定されます。加えて、CAはサービスを受ける人とやりとりを行うため、その周りに多くの人が集まることも想定されます。そこで、SSCを構成するローカル5Gおよび普及が進んでいるWi-Fi 6を用いて大規模CA運用環境におけるCA遠隔操作の通信特性を評価でき、通信に不具合が発生する場合にはその原因をグラフィカルに示すことができるCA信頼性評価シミュレータを開発しました(図2、図3)。

図2 開発したCA通信の信頼性を評価するCA信頼性評価シミュレータの機能ブロック図
図2 開発したCA通信の信頼性を評価するCA信頼性評価シミュレータの機能ブロック図
図3 開発したCA通信の信頼性を評価するCA信頼性評価シミュレータの表示例(左:CAや人の配置例、右:通信状況の表示例)
図3 開発したCA通信の信頼性を評価するCA信頼性評価シミュレータの表示例(左:CAや人の配置例、右:通信状況の表示例)

CAと通信を行うローカル5G/Wi-Fiの親局との間に別のCAや人が入り込むと、電波が遮蔽されて弱くなります。開発したCA信頼性評価シミュレータには、実験を通じて取得したCAや人による電波遮蔽の影響を模擬できる電波遮蔽モデル(図4)も組み込みました。

図4 構築した電波遮蔽モデル
図4 構築した電波遮蔽モデル

3. 今後の展開

2024年度からは研究開発項目の「1.スマートスポットセル(SSC)の構成技術」および「2.操作者とCAを繋ぐE2Eネットワーク最適構成技術」の連携を強化し、新たに「4.CA無線通信環境の最適化技術」として、機械学習による変動予測も加えたCA無線通信環境の最適化技術を開発します。そして、CA信頼性評価シミュレータを用いて大規模CA運用環境において本プロジェクトが開発するネットワーク制御技術の有効性を検証するとともに、実無線ネットワークへの実装を進めます。ユーザ目線でのCA通信の信頼性を示す数値指標を策定し、電波や通信の状況をより直感的に理解できるように表示系の改良も進めます。