成果概要
アバターを安全かつ信頼して利用できる社会の実現[1] プロジェクト間連携と実証実験マネジメント
2023年度までの進捗状況
1. 概要
目標1の研究開発プロジェクト間の連携を促進することで、プロジェクト間の相互理解を高め、ソシオCA(サイバネティック・アバター)の各研究開発プロジェクトと、信頼性確保基盤、CA安全・安心確保基盤(本プロジェクト)の連携課題を抽出します。CA安全・安心確保基盤の研究開発に必要不可欠な、利用者認証、CA認証、CA公証を行うための学習・評価用共通データベース構築に当たり、マルチモーダルデータ収集支援を行います。
2. これまでの主な成果
(1)研究開発プロジェクト間連携のための課題抽出と連携体制構築
全プロジェクトからの参加によりCAプラットフォーム意見交換会を4回開催し、共通課題として、CAサービス基盤、認証、通信、共通データベース、CA遠隔操縦、連携課題として、BMI連携、生体内CAとの連携、細胞内CAとの連携のテーマがあることを確認しました。各課題に対して、ロードマップの作成を行い、タイムテーブル、課題の共通化を行うことができました。また、年末の合宿時の意見交換からは、CA技術をM×N世界に発展させるためには、遠隔操作者、CA、ユーザ全てを仮想空間上で表現し、M×N世界が作り出す未知空間にてシミュレーションする、デジタルツイン技術が必要不可欠であるとの共通認識も持つことができました。
(2)マルチモーダルバイオメトリクスデータベース構築
ユーザ認証、遠隔操作者認証において特に重要であると判断された継続認証の場面を想定したデータ収集のセットアップを行いました。具体的には、オンライン会議システムを用いた、しりとりや連想ゲームによる対話シーンに対して、複数視点のカメラにより多視点顔映像・ズームした虹彩映像・手元映像を撮影、マイクにより対話内容を収録、時計型ウェアラブルセンサにより生体信号を計測、脳波計により脳波を計測することで、継続対話時のマルチモーダルバイオメトリクスデータを収集可能な装置を作成しました。結果として、被験者数912名、6つのモダリティを含む、世界最大規模の継続認証を対象とした、マルチモーダルバイオメトリクスデータを収集しました。


研究開発項目2と共同で、遠隔操作者の継続認証において主要なモダリティとなる顔認証について、顔動画像から個人認証を高精度に行うCAFace [Kim+ NeurIPS 2022]の手法を標準技術として、WebRTCで動作するクライアント・サーバ型の動画からの顔認証のプロトタイプシステムを構築しました。今後は、実装したシステムを運用しつつ、性能向上を期待できる手法の研究開発を実施します。

3. 今後の展開
今後、CAプラットフォーム意見交換会を随時開催し、2050年未来社会の社会像からのバックキャスティングにより、安全・安心確保基盤の研究方針の見直しにも取り組みます。
大阪梅田グラングリーン大阪JAMbaseにて、年間を通して1000名規模の継続認証用のデータセット収集を実施すると共に、石黒プロジェクトのCA基盤に項目2にて開発中の継続認証技術を組み込んだ上での評価実験を下期を目処に実施する予定です。