研究開発の概要

アバターを安全かつ信頼して利用できる社会の実現

1.プログラムにおける位置づけ

本プロジェクトは、プログラムが掲げる「身体・脳・空間・時間の制約からの解放」を目指して、ソシオCAと体内CAの成果を横断的に検討し、異なるCAに共通する技術的・制度的課題を明らかにするとともに、国内外の技術・制度的課題解決に向けた提言や市民の意見収集の場を提供して、「安全・安心・信頼」を確保し、社会受容性を高めるCA基盤を構築することを目指しています。
特に、操作者のなりすまし、CAの乗っ取り、CA内に蓄積される技術情報等の不正取得(違法な技能模倣)などに対処して、CA利用の安全・安心を確保するための「安全・安心確保基盤」を構築することによって、ターゲット1「CA基盤」の推進に貢献します。(図1)
本プロジェクトは同時に「倫理的・経済的・環境的・法的・社会的課題E3LSI(イー・キューブ・エルシ)」の研究を推進することによって、ターゲット2「社会通念を踏まえた新しい生活様式を提案する」の実現を目指します。

図1 プロジェクトの取り組みの概要
図1 プロジェクトの取り組みの概要

2.研究開発の概要及び挑戦的な課題

本プロジェクトは、利用者認証・CA認証・CA公証により実現されるCA安全・安心確保基盤の実現により、安全・安心・信頼性を確保し、CAの社会受容性を高めることで、CAが分身となり他者と接する世界、CA同士が接する世界、すなわち、CAを介した新たなコミュニケーション文明が開化することを目指しています。この社会像を実現するために、具体的には、下記の3研究開発項目に分担して、研究開発プロジェクトを推進します。(図2)

① プロジェクト間連携と実証実験マネジメント

ムーンショット目標1の各プロジェクトの実証実験及び信頼性確保基盤との連携、E3LSI課題の連携総括、技術情報及び成果情報の検索システム、データマネジメントを行います。

② CA安全・安心確保基盤の構築

以下の技術開発を通して、安心・安全にCAを操作できる基盤の構築を目指します。

  • CA操作者の認証(利用者認証技術):様々な技術を同時に駆使して、操作者が誰かを確認する技術。
  • CAの識別と認証(CA認証):CAが他人に乗っ取られたり誰かになりすましたりしていないかを確認する技術。
  • 操作者とCA本体の連結性及び実存状態の担保(CA公証):正規のCAによって、操作者の身分証明をする技術。
③ E3LSI課題・政策展開の研究

CA生活様式を実現するために、E3LSI課題・政策展開に関わる課題を明らかにします。AI・ロボット・アバター法といった新次元の法律研究や、知的財産戦略、国際マクロ経済学、計量経済学研究などの専門家との連携を通して、CAにかかるE3LSI研究を継続的に行う組織の構築、政策提言・様々な立場からの意見集約のサイクルを回しながらCAの社会受容性の調査・研究・政策決定拠点の構築を通して、CAを安全・安心に利用できる社会基盤の構築を目指します。

図2 研究開発のプラン
図2 研究開発のプラン

3.今後の展開

目標1の各プロジェクトが開発するソシオCA、体内CAに対して、適用可能な利用者認証・CA認証・CA公証技術を提案し、これらを組み合わせることによって、CAの安全・安心を確保できる安全・安心確保基盤を構築するための研究を実施します。CA生活を推進するために必要な法や政策を社会に普及させるための組織を創設します。CA安全・安心確保基盤の構築に必要な制度を整備するために検討が求められるE3LSI課題を総合的かつ持続的に研究することが可能な研究体制の整備を目指します。