[エネルギー高度利用] エネルギーの高度利用に向けたナノ構造材料・システムの創製

ナノテクノロジー分野別バーチャルラボHP

戦略目標

環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」(PDF:24KB)

研究総括

藤嶋 昭((財)神奈川科学技術アカデミー 理事長/東京大学 名誉教授)

概要

 この研究領域は、ナノテクノロジーを活用した高効率のエネルギー変換・貯蔵技術、環境調和型の省エネルギー・新エネルギー技術を創製し、環境改善・環境 保全に資する研究、および、ナノオーダーで構造・組織等を制御することにより、省エネルギーを達成し、エネルギーの高度利用に資するこれまでにない高度な 物性を有する機能材料・構造材料・システム等を創製する研究等を対象とするものです。
 具体的には、エネルギー効率の極めて高い、高効率・高選択的物質変換プロセスや循環型エネルギーシステムを実現するためのナノ機能材料・システム、熱電 変換素子等の創製を目指す研究、新しい太陽電池・燃料電池あるいは熱線反射材料・セルフクリーニング材料等の環境調和型の新エネルギー・省エネルギーに係 わるナノ機能材料・システム等の創製を目指す研究、エネルギーの高度利用に資するナノオーダーで材料組成・組織構造・表面界面等を制御した高機能ナノ構造 材料の創製に係わる研究、および、これらの構築に必要となるプロセス技術や評価技術に係わる研究等が含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・ 通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジー を活用した機能性材料・システムの創製」にも資するものとなります。

平成16年度採択分

電極二相界面のナノ領域シミュレーション

研究代表者(所属)
池庄司 民夫 ((独)産業技術総合研究所 計算科学研究部門 研究部門長)
概要
燃料電池の実用上の問題点は、出力電圧でなく、出力電流、すなわち電極触媒の活性です。その重要な因子と なるのは、電極-溶液の二相界面、そのナノ領域での構造や反応性(電子も含めた動力学)です。この複雑な系のシミュレーションが、最近の方法論の進歩とコ ンピュータの並列性能の向上で、いま可能となりつつあります。燃料電池開発のみならず、エネルギー・環境問題、センサー・デバイス開発等に寄与するものと 期待されます。
 

平成14年度採択分

高次規則配列複合構造体を用いたエネルギー変換デバイスの創製

研究代表者(所属)
金村 聖志 (首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 教授)
概要
電気化学反応を利用したエネルギー変換デバイス(高分子固体型燃料電池、リチウムイオン電池、スーパー キャパシター)を全固体で構築するには、これまでの電池技術とは異なる点からの研究が必要であります。本研究では、電極材料と電解質材料のバルクおよび界 面構造の制御を全固体系で自由自在に行えるようにするために必要不可欠な高次規則配列複合構造体に関する要素技術の確立を行います。
 

高機能ナノチューブ材料の創製とエネルギー変換技術への応用

研究代表者(所属)
木島 剛 (宮崎大学 工学部 教授)
概要
研究代表者らは最近、外径6nmの白金ナノチューブと高分子ナノチューブの合成に世界で初めて成功しまし た。本研究では、独自に開発した複合界面活性剤鋳型法を含む独創的な手法により高性能触媒・プロトン伝導性・高誘電性・水素貯蔵能等の高度機能を有する新 規ナノチューブを創製し、燃料電池用の白金系ナノチューブ担持電極とナノチューブ状高分子電解質、高容量電気二重層キャパシタ、ならびに素子化のための チューブ集積技術の開発を目指します。
 

可視光水分解を目指したナノ構造体光触媒の創製

研究代表者(所属)
工藤 昭彦 (東京理科大学 理学部 教授)
概要
ソフト溶液合成プロセス等を活用してナノ構造体を構築することにより、電荷分離や反応場の形成・分離が制 御された光触媒を開発していきます。これによって、太陽光を利用して水から水素クリーンエネルギーを効率良く作り出す可視光応答性光触媒を開発していきま す。これにより、社会的な問題となっている地球規模でのエネルギー・環境問題に貢献できると期待されます。
 

電界効果型ナノ構造光機能素子の集積化技術開発

研究代表者(所属)
鯉沼 秀臣 (東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 客員教授)
概要
不純物のドープという欠陥の誘起を伴う方法に代わり、電界効果による電荷制御を従来の半導体を超える各種 材料(ワイドギャップ酸化物、π共役有機固体)に拡張し、構成層の厚みや幅、表面・界面、チャネルのナノサイズ制御による新エネルギー利用システム(太陽 電池、透明トランジスタ、発光素子、光触媒)を構築します。この際、世界最先端の集積化ナノ合成・評価システムを設計・開発し、研究にスピードと革新性を もたらします。
 

ナノブロックインテグレーションによる層状酸化物熱電材料の創製

研究代表者(所属)
河本 邦仁 (名古屋大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
原子・クラスターのナノレベルで設計された酸化物機能ブロックのインテグレーションにより、従来の熱電材 料では達成不可能であった複合物性を実現し、次世代の高度エネルギー利用社会に資する高効率熱電変換材料の創製を目指します。分散熱源からの排熱利用、特 に自動車などの移動体熱源による熱電発電が実用化されれば、社会的・経済的・市場的インパクトは極めて大きいと期待されます。
 

光機能自己組織化ナノ構造材料の創製

研究代表者(所属)
佐々木 高義 ((独)物質・材料研究機構 ナノスケール物質センター センター長)
概要
本研究では、独自の2次元ナノ物質を用いてこれらを自己組織化反応を活用して階層的もしくは傾斜的に集積 する技術、機能性分子などと精密にナノ接合する技術の確立を行います。これにより新型太陽電池につながる高効率の光エネルギー変換、貯蔵機能の実現や省エ ネルギーに役立つ高感度セルフクリーニング薄膜などの開発を目指します。
 

界面ナノ制御による高効率な太陽光水分解システムの創製

研究代表者(所属)
中戸 義禮 (関西学院大学 大学院 理工学研究科 客員教授/大阪大学 名誉教授)
概要
高効率・低コストの太陽エネルギー変換を目的として、安価な多結晶シリコン薄膜と微粒子二酸化チタン薄膜 (窒化・可視化したもの)の組み合わせにより太陽光水分解を行い、金属ナノ粒子の担持、表面アルキル化などの界面ナノ制御を駆使して、10%以上の高効率 の達成を目指します。これにより太陽エネルギー変換の大規模実用化に新しい可能性が生まれ、地球規模のクリーンなエネルギー変換システムの開発が期待され ます。
 

ナノ組織制御による高臨界電流超伝導材料の開発

研究代表者(所属)
松本 要 (九州工業大学 工学部 教授)
概要
地球に負荷をかけず高効率で電力エネルギーを貯蔵・送電したり産業機器を駆動することを実現する高温超伝 導線材は、実用化には臨界電流密度をあと数倍向上させる必要があります。本研究ではナノ組織制御によって人工ピンニング点(APC)を超伝導体中に導入 し、量子化磁束の集団を効果的にピンニングして臨界電流密度を飛躍的に向上させることを目指します。これにより高温超伝導の77K応用が一息に加速するこ とが期待されます。
 

ナノ構造単位材料から構成される電力貯蔵デバイスの構築

研究代表者(所属)
山木 準一 (九州大学 先導物質化学研究所 教授)
概要
リチウムイオン電池やキャパシタに代表される電力貯蔵デバイスの性能は、単にその電極材料のマクロな化学 組成から一意的に決まるものではなく、電極を構成する活物質の粒径や空孔構造といったナノ構造に大きく影響されます。本研究では、このようなナノ構造の新 規構築と制御により、新規機能の発現の学術的解明と、電力貯蔵デバイスである金属空気電池やリチウムイオン電池・キャパシタの性能向上を目指します。
 

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