戦略目標
新たな社会・産業の基盤となる予測・制御の科学
研究総括
小谷 元子(東北大学 材料科学高等研究所 主任研究者・教授/東北大学 理事・副学長)
概要
複雑な要因が絡み合う地球規模課題や社会課題が顕在化・深刻化する中で、直面する脅威や先の見えない不確実な状況に対応していくためには、重要な兆し・変革点を的確に捉えて予測し、取り返しのつかない悪い状態への遷移を回避しなくてはなりません。また、そのような予測に基づいた事象への介入により、最終的により望ましい状態へと導く(もしくは良好な状態を維持する)制御ができる新たな社会基盤を構築していくことが必要です。
このためには、自然・社会現象に関わるあらゆる情報・データの活用に向けて様々な分野が融合して取り組むだけでなく、数理科学がもつ複雑な現象を抽象化して可視化できるという強みを生かすことで、これら現象の解明・理解の深化を図るとともに、それに基づく予測や制御に関わる新しい学理と革新的な技術を創出していくことが重要です。
本研究領域では、社会課題に関わるリアルタイムデータやビッグデータ等に対して、数学・数理科学と他分野との融合により先進的な数理解析・評価手法を開発し、その解析・評価結果を基にした予測・制御のための新たな基礎学理の創出と、実課題に適用するための基盤技術の確立を目指します。
具体的には、複数の現象が絡み合う社会課題を数理モデルや数学的記述により抽象化し、その因果関係や主要因となるパラメータを導出し、現象に関する各分野の専門的知見やAI・機械学習等を活用することで、その確からしさの検証や変化の予兆と変化後の状態の特定、そして現象への介入の試行に取り組みます。また、実課題に適用するために、各分野の専門的知見や社会・産業のニーズ等も踏まえた上で、予測プログラムの開発や新たな介入・制御手法の提案にも取り組みます。
なお、本研究領域は文部科学省の人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト(AIPプロジェクト)に参画します。
本研究領域は、文部科学省の選定した戦略目標「
新たな社会・産業の基盤となる予測・制御の科学」のもとに、2024年度に発足しました。
領域アドバイザー
穴井 宏和 |
富士通(株) 富士通研究所 プリンシパルリサーチディレクター |
今井 桂子 |
中央大学 理工学部 教授 |
井村 順一 |
東京工業大学 工学院 教授/理事・副学長 |
河東 泰之 |
東京大学 大学院数理科学研究科 教授 |
白井 朋之 |
九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 副所長・教授 |
初田 哲男 |
理化学研究所 数理創造プログラム プログラムディレクター |
福水 健次 |
統計数理研究所 先端データサイエンス研究系 教授 |
山西 健司 |
東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授 |