エネルギー高効率利用のための相界面科学

1.研究領域の概要

 本研究領域は、豊かな持続性社会の実現に向けて、エネルギー利用の飛躍的な高効率化を実現するため、エネルギー変換・輸送に関わる相界面現象の解明や高機能相界面の創成などの基盤的科学技術の創出を目的としている。
 具体的には、様々な相界面現象の基礎学理や制御・最適化技術を深化させることによって、エネルギー損失の大幅な減少を可能とする相界面、あるいは、高効率エネルギー利用のための新たな高機能相界面を創造することに挑戦する。そのためには、ナノ、メソ、マクロといった異なるスケールの現象を統合的に解析・ 設計するための技法、相界面構造を制御・最適化するための理論的手法などを開拓することなどが必要である。さらに、これらの先端的な基礎研究の成果を、実際の機器やシステムの設計に効果的に適用し、それらの飛躍的性能向上、低炭素化、低コスト化に繋げることが重要である。
 本研究領域では、機械、化学、物理等の多様な分野の研究者による専門分野を超え、あるいは異なる分野の科学的知識を融合し、Science及びEngineering Scienceの両面からのアプローチを行う。それにより、エネルギーの高効率利用に向けた相界面におけるエネルギー変換・輸送機構の解明、マルチスケールの相界面現象を総合的に解析・設計するための計測、モデリング、シミュレーション技術の開発、相界面構造を制御・最適化するための数理科学的な手法などの基盤技術を創出するとともに、機器やデバイスの理論的最高性能を実現するための高機能相界面を創成することを最終目標とする。

2.事後評価の概要

2-1.評価の目的、方法、評価項目及び基準

 戦略的創造研究推進事業・CRESTにおける事後評価の目的、方法、評価項目及び基準に沿って実施した。

2-2.評価対象研究代表者及び研究課題

平成24年度採択研究課題

(1)安部 武志 (京都大学 大学院工学研究科 教授)
多孔性電極中のイオン輸送現象の解明と高出入力電池への展開

(2)早瀬 修二 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科 教授)
酸化物半導体プリカーサーを用いる相互侵入型無機・有機(無機)バルクヘテロナノ界面の一括構築と太陽電池への応用

(3)宮武 健治 (山梨大学 大学院総合研究部 教授)
革新的アニオン導電性高分子を用いた三相界面の創製とアルカリ形燃料電池への展開

(4)山下 晃一 (東京大学 大学院工学系研究科 教授)
エネルギー変換計算科学による相界面光誘起素過程の設計

平成23年度採択研究課題(1年追加支援課題)

(1)古山 通久 (九州大学 稲盛フロンティア研究センター 教授)
固体酸化物形燃料電池電極の材料・構造革新のためのマルチスケール連成解析基盤

(2)陳 明偉 (東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 教授)
界面科学に基づく次世代エネルギーへのナノポーラス複合材料開発

2-3.事後評価会の実施時期

平成29年10月28日(土)

2-4.評価者

研究総括
花村 克悟 東京工業大学 工学院 教授
領域アドバイザー
江口 浩一 京都大学 大学院工学研究科 教授
岡崎 健 東京工業大学 特命教授
加藤 千幸 東京大学 生産技術研究所 教授
栗原 和枝 東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授
斎川 路之 (一財)電力中央研究所 エネルギーソリューション創発センター 主席研究員
(※本評価に参加せず)
萩原 剛 東芝エネルギーシステムズ(株)原子力事業部 参事
宮野 健次郎 物質・材料研究機構 フェロー
吉田 真 京セラ(株)メディカル開発センター 所長
渡辺 政廣 山梨大学 特命教授
外部評価者
山田 明 東京工業大学 工学院 教授

※所属および役職は評価時点のものです。

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