戦略的創造研究推進事業とは
戦略的創造研究推進事業は、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、挑戦的な基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションを生み出す、新たな科学知識に基づく創造的な革新的技術のシーズ(新技術シーズ)を創出することを目的としています。そのために、大学・企業・公的研究機関等の研究者からなるネットワーク型研究所(組織の枠を超えた時限的な研究体制)を構築し、その所長であるプログラムオフィサー(研究総括等)による運営の下、研究者が他の研究者や研究成果の受け手となる産業界や広く社会の関与者とのネットワークを構築しながら、研究を推進します。
事業の制度
事業趣旨に沿った本事業の有効な実施のために、文部科学省は、毎年、国内外の研究動向を踏まえた戦略目標を定めています。この戦略目標の下で、JSTは、CREST・さきがけ・ERATO・ACT-X等の各プログラムが持つ特徴・機能を最適に組み合わせ、研究領域を設計し、戦略的な基礎研究を推進します。研究領域は、戦略目標達成に向けた研究を推進する「ネットワーク型研究所」であり、その長である研究総括はJSTが任命します。
研究総括は、戦略目標を達成する責任とそのために必要な裁量を持っており、研究領域の運営方針の策定、採択研究課題の選考、研究計画調整等のマネジメントを行います。戦略目標によって、対象となる科学技術分野や取り組むべき研究フェーズ、研究の進展により実現しうる未来社会までの道筋もそれぞれ異なるため、それぞれの戦略目標に応じて研究領域ごとに柔軟な設計と運用を行うことにより、成果を最大化することを目指しています。
科学技術イノベーションと戦略的創造研究推進事業
科学技術イノベーションは、”科学的な発見や発明等による新たな知識を基にした知的・文化的価値の創造”と”それらの知識を発展させて経済的、社会的・公共的価値の創造に結び付ける革新”と、第5期科学技術基本計画のなかで定義されています。戦略的創造研究推進事業は基礎研究を推進する事業であり、求める成果は前者の”サイエンス”ですが、その成果が事業終了後に、後者の”科学技術イノベーション”に結びついていくストーリーを持っていることも必要です。科学技術イノベーションを起こすストーリーを持った研究成果を「革新的技術のシーズ(新技術シーズ)」という言葉で表現しています。
科学技術イノベーションといっても、その粒度(拡がり)や実現までの時間・道のり等は極めて幅広いものです。設定される戦略目標によってさまざまであり、研究領域によって、求めるサイエンスと科学技術イノベーションのバランスも少しずつ異なってきます。また、同じ1つの研究領域のなかでも、サイエンスよりの成果を期待される研究課題もあれば、その逆の研究課題もあります。
このようにある程度の幅はありますが、長期的な視点を持った、従来の発想にとらわれない基礎研究を奨励しています。
詳細は、プログラム一覧より各プログラムのHPをご参照ください。
■事業の特徴:トップダウン型で基礎研究を推進
研究主監
平山 祥郎 | 量子科学技術研究開発機構SIP推進センター センター長 東北大学 名誉教授 |
五十嵐 道子 | フリージャーナリスト |
熊ノ郷 淳 | 大阪大学大学院医学系研究科 研究科長 |
辰巳砂 昌弘 | 大阪公立大学 学長 |
辻井 潤一 | 産業技術総合研究所 フェロー |
益 一哉 | 産業技術総合研究所 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター センター長 |
(令和6年10月時点)