博士後期課程学生支援について

博士後期課程学生の経済的支援

主な経済的支援の概要

※現行制度では、特別研究員制度と次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)と大学フェローシップ創設事業、特別研究員制度と貸与奨学金の重複受給は認められていない。申請時期や条件等の詳細は制度により異なる。

支援内容比較

名称 支援数(R4実績) 支援額(年額) 支援期間 所管
SPRING 約6,000名 生活費180万円~+研究費 最大3年間(4年制の場合は4年間) JST
大学フェローシップ創設事業 約2,000名 生活費180万円~+研究費 最大3年間
授業料免除制度 国公立:約54万円
私立:約70万円
各期毎 大学
RA・TA経費 大学による 都度
特別研究員制度 約4,200名 生活費240万+研究費 DC1:3年間
DC2:2年間
JSPS
特に優れた業績による返還免除制度 博士課程:876名 (最大)146万円 標準修業年限 JASSO

※SPRING、大学フェローシップ創設事業については、経済的支援の他、各大学が実施するコンテンツやキャリア支援が提供される。
※授業料免除、RA・TA採用は各大学で実施しているため、全体の支援人数は「-」とする。
※「特に優れた業績による返還免除制度」については、令和3年度中に貸与が終了した者のうち、令和4年度に返還免除者として認定された人数。なお、令和4年度に決定された令和3年度博士課程進学者の内定者は228名。

次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)

 優秀で志のある博士後期課程学生が研究に専念するための経済的支援及び博士人材が産業界等を含め幅広く活躍するためのキャリアパス整備を一体として行う実力と意欲のある大学の取組を支援するもので、令和3年度よりJSTが実施しています。

 各大学の事業統括により選抜された優秀な博士後期課程学生は、所属元の変更などのポータビリティを担保した上で自身の自由で挑戦的・融合的な研究に専念し、あわせて当該博士後期課程学生に対しては、生活費相当額及び研究費の支給や、キャリア開発・育成コンテンツ(国際性の涵養、学際性の涵養、キャリア開発、トランスファラブルスキルの習得、インターンシップ等)をはじめとする様々な支援が提供されます。各大学により支援内容が異なります。

採択プロジェクト一覧:https://www.jst.go.jp/jisedai/project/index.html

科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業

 修士課程から博士後期課程に進学する優秀な人材の確保を図るため、将来の我が国の科学技術・イノベーション創出を担う博士後期課程学生の処遇向上とキャリアパスの確保を、全学的な戦略の下で一体として実施する大学を支援しています。本事業は令和3年度に開始され、令和4年度よりJSTが実施しています。

 価値創造の源泉である基礎研究・学術研究の卓越性と多様性を維持・強化していくため、将来を担う博士人材を戦略的に育成していくため、本事業では各大学が将来のイノベーション創出等を見据えてボトムアップで提案するボトムアップ型と、国がトップダウンで分野を指定する分野指定型(情報・AI、量子、マテリアル)の2タイプがあります。各大学により、採択分野や支援内容が異なります。

https://www.jst.go.jp/fellowship/index.html
採択大学一覧:https://www.jst.go.jp/fellowship/adopted/

特別研究員制度(DC1、DC2)

 優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保を図る制度として、日本学術振興会(JSPS)が実施しています。

 本制度では、優れた研究能力を有し、研究に専念することを希望する博士人材を「特別研究員(DC1、DC2)」に採用し、研究奨励金の支給及び科研費(特別研究員奨励費)を交付します(研究奨励金240万円/年、科研費150万円以内/年)。採用期間は、DC1が3年間、DC2が2年間となります。

 なお、博士後期課程修了後は、博士学位取得後5年未満であることなどを要件に、「特別研究員(PD)」の道も開かれています。

https://www.jsps.go.jp/j-pd/index.html

授業料免除制度

 学業優秀で、経済的に困窮している世帯の学生に対して授業料の減免を行う制度です。この制度は各大学が実施しており、世帯の家計(経済)状況により審査・決定します。

RA(リサーチアシスタント)・TA(ティーチングアシスタント)

 大学院生、特に博士課程後期学生は、学生であるとともに若手研究者であることから、学生を教育指導する実践力、大学院での研究力をサポートするため、各大学がTAやRAとして雇用し給与を支給します。

 競争的研究費でのRA雇用による支援は、支援人数、1件当たり支援額いずれも小さい傾向にあります。RA経費の適正化のため、JST「創発的研究支援事業」では令和2、3、4年度の採択課題に対して、約800人分のRA支援経費を措置し、RAとしての労働対価を年額最大240万円支給します。

 また、大学等におけるRA等の雇用・謝金に係るガイドラインの策定、各競争的研究費の公募要領においてRA経費の適切な計上を明記する等、業務の内容に見合った適切な水準でのRA経費の支給を推進しています。

 各大学においては、研究者を育成する大学の責務を明確化し、奨学金、フェローシップ制度、RA制度等の様々な仕組みを組み合わせた適切な支援制度設計の検討が求められます。

大学等におけるRA等の雇用・謝金に係るガイドライン(抜粋)(118KB)
令和4年度 科学研究費助成事業公募要領(抜粋)(14KB)
JST「創発的研究支援事業」

貸与奨学金 特に優れた業績による返還免除制度

 大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構(JASSO)が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。奨学金の貸与終了時に、大学からJASSOへ推薦される必要があります。

 なお、博士課程へ進学される方については、博士課程入学時に、貸与終了時に決定する業績優秀者の返還免除を内定する制度があります。博士課程への進学のインセンティブを付与し、給付的効果を充実させることを目的としています。JASSOが、文部科学省関連機関が行う主な競争的研究事業における採択状況を勘案し、対象大学へ推薦依頼を行っています。

https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/index.html