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取り組み・成果

最終更新日:平成28年3月31日

イベント

JST成果発表・展示会「復興から新しい東北の創生へ―科学技術の英知・絆の成果― in 福島」
東日本大震災被災地企業の復興支援に大きな成果

平成27年12月8日 福島県郡山市

イベント風景

成果発表会場

イベント風景

成果展示会場

 
 

 国立研究開発法人科学技術振興機構(以下「JST」)は12月8日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまにおいて、JST成果発表・展示会「復興から新しい東北の創生へ―科学技術の英知・絆の成果― in福島」を開催した。   
 今回の成果発表・展示は二つの分野を対象としている。一つは、JSTが被災地企業の復興に向けて「学」との連携を支援する復興促進プログラム(マッチング促進)事業のものである。JSTは、2011年3月11日の東日本大震災のあと、2012年度にJST復興促進センターを開設し、盛岡、仙台、郡山に事務所を設置するとともに、「マッチングプランナー」18名を配置した。マッチングプランナーは、復興を目指す被災地企業の技術的課題と、その課題を解決するための技術シーズを全国の大学等から探し出してマッチングさせる。この産学マッチング方式は大きな成果を挙げ、産学官連携の一つのモデルとして定着しつつある。
 もう一つの分野は放射線計測機器だ。JSTは従来から、最先端の知見を活用し、産学連携で先端的な計測・分析機器の開発・実用化を目指すため「研究成果展開事業 先端計測分析技術・機器開発プログラム」を推進している。今回は、行政ニーズ、被災地ニーズの高い放射線計測機器およびシステムに絞って成果発表・展示を行った。

 
◆  福島からのイノベーションの風に期待
 

 成果発表の前に、文部科学大臣政務官・復興大臣政務官の豊田真由子氏の来賓挨拶があった。豊田政務官は「被災地の皆さまが研究者と力を合わせて、直面する課題に挑戦されているのは心強い。科学技術は未来を創っていく力である」と述べた。   
 続いて登壇した福島県副知事の畠 利行氏は「福島の多様な資源を生かした産業の復興にJSTのプログラムは大きな役割を果たしている。福島からイノベーションの風が起こることを期待している」と述べた。   
 その後、小沢喜仁復興促進プログラムプログラムオフィサーが復興促進プログラムの成果の概要を、平井昭司先端計測分析技術・機器開発プログラム放射線計測領域総括が放射線計測機器開発の成果全体の概要をそれぞれ紹介し、個別の産学連携の取り組みの成果発表に移った。

 
 
 
◆  計12件の成果を発表
  

 放射線計測機器関連では、株式会社北川鉄工所(広島県府中市)が広島大学、日立アロカメディカル株式会社と連携して開発した「除染土壌の放射能濃度測定装置」を発表した。除染土壌(除去した汚染土壌)と一口にいってもその放射能濃度はまちまちである。そこで除染土壌を3立方メートルごとに分けて濃度を計測したのち、所定の濃度別に振り分けることができる装置を開発した。
 浜松ホトニクス株式会社(静岡県浜松市)は早稲田大学と連携して開発した「高感度かつ携帯可能な革新的ガンマ線可視化装置」を発表した。これは毎時数マイクロシーベルトの環境において10秒程度で放射性物質の分布画像として提供できる装置(コンプトンカメラ)で、カメラ本体の重量は1.9キログラムしかなく、除染現場への搬入や操作が容易なのが特徴である。   
 一方、復興促進プログラム関係では、株式会社会津工場(福島県只見町)が地元の公設試験研究機関の福島県ハイテクプラザと連携して鋳造品の高強度・高靭(じん)化を実現した。同社は、英国で開発された特殊な鋳造方法(Hプロセス)を実用化し、複雑な形でも薄肉に仕上げられるようにした。また、鋳鉄には「靭性」が低い(衝撃力に弱い)という欠点があるが、この課題を福島県ハイテクプラザの材料強度評価技術とミクロ組織シミュレーション技術を活用して改善した。   
 株式会社伸クリーン(福島県飯舘村)は、株式会社明石屋、茨城大学、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構と連携して廃プラスチックをリサイクルして放射線を遮蔽(しゃへい)する部材の開発に取り組んでいる。廃プラスチックは、ペットボトル、食料品の容器、自動車工場から出るホイールカバーのバリなどさまざまだが、その配合比率が遮蔽率に影響しているという。

   
◆  約480人が参加

 成果発表のプレゼンテーションと並行して、展示コーナーでは、成果発表パネルと成果見本を展示して支援企業の研究開発成果を分かりやすく紹介した。
 放射線計測機器開発と復興促進プログラムとで、それぞれ28課題の成果を出展したほか、近隣の大学、工業高等専門学校、公設試験研究機関、経済団体等が出展した。
 今回の成果発表・展示には約480人の方々が参加された。参加者は各被災地企業の研究開発成果の説明に聞き入っていた。展示コーナーではより踏み込んだ質問や情報交換が行われていた。この催しを通じて、JSTが支援した被災地企業の成果を広く伝えることができた。 

(産学官連携ジャーナル2016年1月号記事引用)

     
 

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