研究チーム/研究者


現代の産業社会とグレブナー基底の調和

グレブナーの弟子 Buchberger が学位論文でグレブナー基底を計算するアルゴリズムを発表(1960年代半ば)し、それがいわゆる計算代数と呼ばれる肥沃な分野の誕生の契機となった。ほとんど同じ頃、廣中平祐が特異点解消論文において類似の概念(standard basis)を導入した。グレブナー基底とは、多項式環のイデアルの“優れた性質”を持つ生成系であり、イデアルの一つの生成系からBuchberger アルゴリズムを使ってグレブナー基底を計算することができる。その“優れた性質”の一つが連立方程式系の解集合の計算である。たとえば、右図の上段の連立方程式系の解集合を(=0を無視した)3個の多項式が生成するイデアルの零点集合と思い、その生成系からグレブナー基底を計算すると、右図の下段の3個の多項式が得られる。両者とも連立方程式系の解集合としては一致するが、下段の連立方程式系の解集合を計算することは簡単である。


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