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「未来の科学者」の君たちへ

先輩達の活躍

宇都宮大学「iP-U」受講生

遠藤 颯さん

研究テーマ「 栃木県にて採取された大型陸生貧毛類の未記載種」

私は幼い頃から大好きな大型陸生貧毛類(ミミズ)について “もっと深く知りたい” という思いで宇都宮大学GSCプログラム(iP-U)に参加しました。

ミミズを意識して日々生活している人は、僕以外あまりいないかもしれませんが、ミミズは案外私たちのすぐ側にいる生物です。しかし、この生物は未だ解明されていないことが多く存在する謎に包まれた生物でもあります。その中でも特に、研究の基礎ともいえる分類は今後、様々な研究を行う上で重要な課題になると考えます。

2019年度に私は、形態的に類似した二種に関して、分子生物学を用いることで、小さな形態的な差が種内変異ではなく種間での差であることを明らかにしました。その研究の中で、今まで記載されていない形態を有する個体群、つまり未記載種である可能性を持った個体群を発見しました。2020年度は、その個体群を新種として記載するため、今まで一般に用いられてきた形態学的分類に加え、分子生物学的解析を行うことで、その個体群が現在分類されているどの種にも該当しない種であることを明らかにしました。

私は今後、まずは日本産フトミミズ科のDNAデータベースの完成を目標にしたいと考えています。これらの目標達成は、種内変異のより詳細な研究や、形態学的分類が行えない研究者の種レベルでの研究が可能になるなど、多くの研究に貢献出来ると考えます。その他、飼育方法の確立や属名の統一、核DNAの解析など多くの研究課題に取り組んでいきたいと考えています。

以上の目標を達成するため、大学へ進学し、分子生物学を中心とする多くの知識を身につけ、いずれはミミズに関して誰にも負けない世界一のミミズ研究者になろうと考えています。

(令和3年度版GSCパンフレットより)

  • 画像:受講生本人

    受講生本人

  • 画像:研究風景:解剖したミミズの内部形態観察

    研究風景:解剖したミミズの内部形態観察