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「未来の科学者」の君たちへ

先輩達の活躍

静岡大学FSS受講生

谷澤 文礼さん

研究テーマ「睡眠はショウジョウバエの新奇な食物臭への嗜好性に寄与する」

「動物は世界をどう認識しているのか」に興味があり、静岡大学未来の科学者養成スクール(FSS)に参加しました。

以前から書籍を通じて惹かれていた研究に影響を受け、本研究ではショウジョウバエの嗅覚の嗜好性に着目しました。睡眠不足の時に身体感覚などに変化を感じることがあるように、睡眠は環境認識を担う情報処理に関与しています。生物の感覚と行動における睡眠の機能を明らかにするため、睡眠の有無と匂いの嗜好性の関係について調査をしました。

自作した遠心機によって遠心されたキイロショウジョウバエに、異なる匂いを選択させることで、睡眠が匂いの嗜好性に行動レベルで機能することを明らかにしました。さらに、匂いが添加された培地を用いた実験により、睡眠妨害によって成育環境の匂いをより好むようになることを示しました。これらは、ハエの行動理解だけでなく、人間の生活習慣病や神経変性疾病への有用なアプローチをもたらす可能性があり、GSC全国受講生研究発表会での文部科学大臣賞、高校生バイオサミットでの厚生労働大臣賞をいただくことができました。

このように私の関心に基づいた研究が可能だったのは、静岡大学グリーン科学技術研究所の竹本裕之先生の公私における親身で丁寧なご指導のお陰に他なりません。また、FSSでは座学や交流の機会だけでなく、通学方法や論文発表に関しても多大なご助力をいただきました。心より感謝申し上げます。

今後は、生物学者として研究可能な領域を広げるべく、より広範囲で解像度の高い知見と技術を身につけていきたいと考えています。

(令和3年度版GSCパンフレットより)

  • 画像:吸虫菅でハエを移動している様子

    吸虫菅でハエを移動している様子

  • 画像:扇風機を改造して製作した遠心機

    扇風機を改造して製作した遠心機