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「未来の科学者」の君たちへ

先輩達の活躍

宇都宮大学「iP-U」受講生

横尾 恵子さん

研究テーマ:How much do Japanese university students know about soil? A survey of university students who received science education in Japanese schools
(日本の理科教育を受けてきた大学生への土についての知識・関心度調査)

<研究概要>

日本の学校教育の理科では、植物の成長や光合成に水が必要であることは教えられるものの、そこに土壌の機能が関わっていることは直接的には扱われていないのが現状です。このことが大学生の土壌の保水性の理解にどのように影響しているかを検証することを目的に、自由記述式の質問紙調査を実施しました。 調査対象は大学1年生253名(人文系78名、農学系175名)でした。設問は、(1)植物を育てるために水をあげる理由、(2)道ばたの雑草が水をあげなくても育つ理由の2問でした。(1)の設問への回答については、「植物の成長には水が必要」といった回答が人文系で78% 、農学系で63%でした。一方、光合成への言及はそれぞれ、5 %・30 %でした。(2)の設問への回答には、「雑草は強いから」といった回答が人文系で54%、農学系で38%と多く、次いで雨への言及が各33%・44%でした。その一方で、土壌の保水性への言及については、それぞれ、1.2%・2.2%にとどまっていたことが明らかになりました。以上の研究成果に基づいて、植物の成長に必要不可欠な水が地面の下にある土壌より供給されるという事実を小学校5年生の理科において取り上げる重要性とその教材を提案しました。

<受講生の本研究での役割>

この研究では、次の2つの設問-1)植物を育てるために水をあげる理由、(2)道ばたの雑草が水をあげなくても育つ理由-が共同教育学部、地域デザイン科学部および農学部の教員により考案され、アンケート調査が農学部、共同教育学部、地域デザイン科学部に所属する大学生に対して実施されました。そのアンケート調査結果を受講生がとりまとめ、その解析と考察については、教員と受講生が議論を重ねながら行い、その成果をEGUや日本土壌肥料学会において発表しました。

<今後の展望の可能性>

大学生であっても土壌の保水機能の理解が進んでいないことがわかりました。今後、土壌の保水機能が小学校高学年の植物の成長の単元で掲載されることが期待されます。さらに、本研究で作成した土壌の保水機能を示すオリジナルの概念図が国際的な土壌教育ガイドラインの中で活用されることも期待されています。

事務局注:本研究は国際的な学会で報告されました。

  • 画像:受講生本人

    受講生本人

  • 画像:国際的な学会で報告した内容の一部

    国際的な学会で報告した内容の一部

  • 画像:国際的な学会で報告した内容の一部

    国際的な学会で報告した内容の一部