研究テーマ
Complete nucleotide sequence of a begomovirus isolated from luffa plants in Indonesia
(インドネシアのヘチマから分離されたBegomovirus属ウイルスの全塩基配列決定)
植物ウイルスは、植物に感染すると黄化や葉巻きなどの病徴を引き起こします。ウイルスはコナジラミなどの虫によって媒介され、東南アジア諸国で問題となっています。この論文では、2017年にインドネシアで黄化病徴を示すヘチマが植物ウイルスの一種であるベゴモウイルスに感染していることを明らかにし、ウイルスゲノムの全塩基配列を決定しました。配列データベースとの照合により、既に報告されているウイルスととても良く似ていること、他のウイルスには見られないDNAの一部重複があることを明らかにしました。
インドネシアのヘチマに感染するウイルスゲノム配列の報告は、本研究が初めてとなりました。
この研究ではウイルスに感染したヘチマからDNAを抽出し、PCRや大腸菌の形質転換、シーケンスなどの分子生物学的手法を用いて、ウイルスゲノムの全塩基配列を決定しました。田上さんと金子さんは、インドネシアでのウイルスに感染したヘチマのサンプル採集や分子生物学的手法を用いた解析を、博士課程学生に教わりながら担当しました。
インドネシアのヘチマに感染するウイルスのゲノム配列はこれまで未知でした。今回、このウイルスのゲノム配列が明らかになったことで、簡易で高速かつ安価な診断法の確立、病徴発現メカニズムや感染可能な宿主植物の探索などが可能となり、新たな防除法の開発に繋がると考えられます。
事務局注:本研究について、論文が国際的な学会誌に掲載されました。
左から金子さん、田上さん
ウイルスに感染したヘチマ
インドネシアでのサンプル採集の様子