研究テーマ「Isolation of Single-Wired Transition-Metal Monochalcogenides(TMM) by Carbon Nanotubes」
TMM(遷移金属モノカルコゲナイド(Transition Metal Monochalcogenide)ナノワイヤーは理論的には長年研究されてきましたが、合成が難しく、実験研究が進んでいませんでした。本研究チームは、直径100万分の1ミリメートルの試験管カーボンナノチューブを鋳型にした化学反応により、単離したTMMナノワイヤーの多量合成に成功しました。また、電子顕微鏡観察では、束の時には報告されていない特異な「ねじれ」を観測しました。
本研究チームの大学院生らとともにカーボンナノチューブ内におけるTMMナノワイヤーの生成機構を考察する実験に取り組み、酸化物が反応に関与している可能性を見出しました。
本手法で合成したナノワイヤーは極めて安定で、これまで難しかった実験的な物性評価が可能になります。今後は、詳細な生成機構の解明に取り組むとともに、さまざまなTMMナノワイヤーの合成と物性評価を進める予定です。さらに、このナノワイヤーはカーボンナノチューブの熱伝導性などの性質を変化させる可能性もあり、複合材料としての物性評価にも取り組んでいきます。
事務局注:本研究について、論文が国際的な学会誌に掲載されました。
指導教員の中西勇介先生、永田雅貴院生とともに