自立した地域資源を生み出す技術とは
2019年10月21日
- 主催:
小島昭氏
2016年より小島昭研究所理事長、前橋総合技術ビジネス専門学校校長。専門は無機材料、複合材料、環境化学など。長年炭素材料の研究開発に取り組む。
解くべき課題
◆漁業に大きなダメージをもたらすアオコや赤潮被害の抑制
◆東日本大震災の津波で被害を受けた牡蠣養殖の復活
取組のポイント
◆鉄材と炭素材を活用した牡蠣養殖技術
◆鉄デバイスの思わぬ効果
◆鉄デバイスの導入地域の拡大とさらなる応用
取組内容
◆アオコの抑制
・池の水面が緑色になるアオコは水中の窒素やリンの濃度が高まり、植物プランクトンが異常に増えることが原因。これを抑制するため、水中に溶けているリンと鉄を結び付け、水に溶けない沈殿物とすることを模索。開発者の小島昭氏は鉄材と炭素材を組み合わせた「鉄デバイス」を開発し、アオコの抑制に成功した。
◆鉄デバイスの思わぬ効果
・植物プランクトンの増殖には栄養素としての鉄が必要。鉄デバイスにより鉄が安定的に供給され、牡蠣の成長を促進。
◆震災復興への貢献
・東日本大震災の津波被害の復旧に向け、岩手県山田町の三陸やまだ漁業協同組合との共同研究が2012年10月に山田湾でスタート。改良を重ね、設置2年後には牡蠣のむき身重量が30%増し、うまみ成分であるグリコーゲンは70%増となった。
◆鉄デバイスは国内各地、そして中国へと拡大
◆鉄デバイスは「豊かな海を創る」技術
・鉄デバイスの波及効果は、牡蠣養殖業の発展のみにとどまらず、静岡県の猪鼻湖では、アサリの漁獲量回復の可能性もでてきた。小島氏は、「鉄デバイスは『海に森を創る』サプリメントであり、SDGs達成にも貢献し得る技術」だという。
シナリオの関係者
小島昭氏