失敗例に学ぶ

失敗例に学ぶ

地方を活性化するためにと、新しい技術が持ちこまれ、ビジネスが始められることは、よくあることです。しかし高齢の働き手が仕事の形になじめないことも多く、目新しいだけのビジネスは地元に根を張りません。しかしかといって、情報も人材もとぼしい環境では、内側から打開策を出すことも困難です。
このプロジェクトでは、高知県でバイオマスを使った新しいビジネスを立ち上げましたが、並行して、こういった新規ビジネスがなかなかうまくいかないのはなぜなのかについて、失敗例に学びながら考察を続けました。従来の経営学は、成功した例にばかり目を向けがちで、既存のマーケットでどのように勝ち抜いていくかという市場原理で考えます。しかしその土地の人々の気風を理解し、地域の経済の仕組みを尊重しなくては、新しい事にチャレンジしていくのは不可能なのです。
このプロジェクトでも、新しい技術を採り入れることに関して地元の人の賛同を得るためには、相応の時間がかかりました。何度か勉強会を開きましたが、人々は技術のよしあしだけではなく、まわりの人との調和も重視します。時間はかかるかもしれませんが、そういった地元の人の感覚を理解し、彼らの言葉に耳を傾ける姿勢は、やがて信頼を得ることにつながり、事業そのものを支えていくのです。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。