2021.03.31

3/31(水) アカデミーヒルズ共催「カオスを生きる」第6回 多様な性から見直す近代社会システム:フェムテックからSFファンタジーまで

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森ビルアカデミーヒルズ・JST/RISTEX/HITEコラボレーション企画
「カオスを生きる」第6回 多様な性から見直す近代社会システム:フェムテックからSFファンタジーまで

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男性中心の社会構造から脱却するため―2020年代の展望
私たちのこれまでの近代的な社会制度・慣習は「標準的な男性」を基準にして構成され、その枠組みを「常識」として受け入れることで成立してきました。しかし、パンデミックや環境問題、行き過ぎたグローバル化と資本主義の狭間などあらゆる領域でその制度疲労が露呈し、予測不可能な時代に対応するための柔軟な変化が求められています。そのとき、これまでのフェミニズム活動で生まれた論点から社会を見直してみると、どうでしょうか。コロナ禍で浮かび上がった非正規雇用など不安定な立場にいる女性たちの苦しみは、そのまま現代社会の構造問題ともつながります。これまで見過ごされてきた声なき声に耳を傾け、人間本来の権利を分かち合う健全な社会とはなにか?本イベントでは、この問いに向き合う数々の実践者たちと、2020年代の展望を語りあいます。

ファンタジーとアートがもたらすオルタナティブな想像力
今回は、フェムテック(FemTech:女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品やサービス、FemaleとTechnologyを合わせた造語)のベンチャー起業家を迎え、これまでの偏向的な規制や市場のあり方を見直します。さらには、SF、マンガ、アートから喚起されるオルタナティブな社会への想像力をヒントに、萩尾望都やよしながふみらの作品を題材に、次なるビジョンをひらく議論を展開。女性という枠組みを超えた、真に「多様性を包摂する社会」について考えます。

■詳細アカデミーヒルズサイト
■日時:2021年3月31日(水)20:00-22:00
■会場:オンライン開催
■参加費:無料/事前申し込み必要(お申込み期限:2021年3月30日(火)正午まで)
■主催:森ビルアカデミーヒルズ
■共催:科学技術振興機構社会技術研究開発センター「人と情報のエコシステム」研究開発領域

お申し込みはこちらから

※全6回開催予定(2020年10月~2021年3月)
各回の開催案内については、アカデミーヒルズのサイトおよび本サイトにてお知らせしています。

登壇者

photo スピーカー
小谷真理
SF&ファンタジー評論家 日本SF作家クラブ会員
1958年富山県生まれ。北里大学薬学部卒業後、湘南赤十字血液センターに薬剤師として勤務。平塚江南高校時代にSFファンダムと遭遇し、1976年にHF&Fファンクラブ「ローラリアス」の創設メンバーとなり、コスプレ、同人誌制作など長くファン活動をしていたが、 1989年プロのSF評論家としてデビューし、独立。1990年ダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』(トレヴィル)で第2回日本翻訳大賞思想部門受賞。1994年欧米のフェミニズムSFをフェミニズム批評で分析した第一著書『女性状無意識』で第15回日本SF大賞を受賞。1997年当時一大ブームになっていたSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』をフェミニズム批評で分析した『聖母エヴァンゲリオン』(マガジンハウス)を刊行し、アカデミズムの手法でポップカルチャーを論ずるカルチュラル・スタディーズの方法論を提示した。
1998年、自身のペンネームが学者である夫・巽孝之のものであるとの誹謗中傷を受け、裁判に訴え、2001年に勝訴。これをきっかけに、ジョアナ・ラス『テクスチュアル・ハラスメント(文書による性的いやがらせ)』を邦訳し、同事件が性差別によるものであると主張。以後、性差別による文章上の嫌がらせの研究を続ける。2001年よりジェンダーSF研究会(https://gender-sf.org)を立ち上げ、毎年、その年に刊行されたSF&ファンタジーの中でもっともジェンダーについての考察を深めた作品を称揚する「センス・オブ・ジェンダー賞」をプロモートしている。
主な著作は、『ファンタジーの冒険』(ちくま新書)、『おこげノススメーーカルト的男性論』(青土社)、『テクノゴシック』(ホーム社)、『エイリアン・ベッドフェロウズ』(松柏社)他、共著『いかにしてアーサー王は日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか』(みずき書林)など多数。1990年より<日本経済新聞>木曜夕刊のエンターテインメント系時評欄「目利きが選ぶ3冊」を三週間毎に執筆している。
IN HER ZONE -Mari KOTANI Official Site-

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杉本亜美奈
fermata株式会社 共同創業者 兼 CEO Amina Sugimoto, DrPH Co-founder / CEO DrPH/公衆衛生博士
東京大学修士号、London School of Hygiene & Tropical Medicine (英) 公衆衛生博士号取得。 福島第一原子力発電所事故による被災者の内外被曝及び 健康管理の研究を行い、東京電力福島原子力発電所事故 調査委員会(国会事故調)のメンバーでもある。日本医療政策機構にて、世界認知症審議会 ( World Dementia Council ) の日本誘致を担当。厚生労働省のヤングプロフェショナルメンバーにも選ばれ、「グローバル・ヘルスの体制強化:G7伊勢志摩サミット・神戸保健大臣会合への提言書」の執筆に関わる。近年、Mistletoe 株式会社に参画。また、元 evernote CEO の Phil Libin 氏が率いる AI スタートアップスタジオ All Turtles の元メンバーでもある。国内外の医療・ヘルスケアスタートアップへの政策アドバイスやマーケット参入のサポートが専門。

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田中東子
大妻女子大学文学部教授
1972年横浜生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。政治学博士。現在、大妻女子大学文学部教授および東京大学情報学館客員教授。専門は、フェミニズム、カルチュラル・スタディーズ。第三波フェミニズムやポピュラー・フェミニズムの観点から、メディア文化における女性たちの実践について調査と研究を進めている。著書に『メディア文化とジェンダーの政治学-第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社、2012年)、編著や共著に『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』(共編著、ナカニシヤ出版、2017年)、『私たちの「戦う姫、働く少女」』(共著、堀之内出版、2019年)など

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長谷川愛
アーティスト/デザイナー
アーティスト、デザイナー。バイオアートやスペキュラティブ・デザイン、デザイン・フィクション等の手法によって、テクノロジーと人がかかわる問題にコンセプトを置いた作品が多い。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(通称 IAMAS)にてメディアアートとアニメーションを勉強した後ロンドンへ。数年間Haque Design+ Researchで公共スペースでのインタラクティブアート等の研究開発に関わる。2012年英国Royal College of Art, Design Interactions にてMA修士取得。2014年から2016年秋までMIT Media Lab,Design Fiction Groupにて研究員、2016年MS修士取得。2017年4月から東京大学 特任研究員。(Im)possible Baby, Case 01: Asako & Morigaが第19回文化庁メディア芸術祭アート部門にて優秀賞受賞。森美術館、アルスエレクトロニカ等、国内外で展示を行う。
https://aihasegawa.info/

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佐倉統
東京大学大学院 情報学環 教授
1960年東京生れ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。三菱化成生命科学研究所、横浜国立大学経営学部、フライブルク大学情報社会研究所を経て、現在、東京大学大学院情報学環教授。もともとの専攻は霊長類学、進化生物学だが、現在は科学技術と社会の関係についての研究考察が専門領域。人工生命、脳神経科学、放射線リスク、AIやロボットなどさまざまな分野の社会的問題を渉猟しつつ、人類進化の観点から人類の科学技術を定位することが根本の関心。主な著書に、『人と「機械」をつなぐデザイン』(東京大学出版会)、『「便利」は人を不幸にする』(新潮選書)、『おはようからおやすみまでの科学』(ちくまプリマー新書)、『現代思想としての環境問題』(中公新書)など。近著に『科学とは何か 新しい科学論、いま必要な三つの視点』(講談社ブルーバックス)がある。

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塚田有那
編集者・キュレーター
世界のアートサイエンスを伝えるメディア「Bound Baw」編集長。一般社団法人Whole Universe代表理事。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。12年より、東京エレクトロン「solaé art gallery project」のアートキュレーターを務める。16年より、JST/RISTEX「人と情報のエコシステム(HITE)」のメディア戦略を担当。近著に『ART SCIENCE is. アートサイエンスが導く世界の変容』(ビー・エヌ・エヌ新社)、共著に『情報環世界 - 身体とAIの間であそぶガイドブック』(NTT出版)がある。大阪芸術大学アートサイエンス学科非常勤講師。
http://boundbaw.com/