2018.02.12

3/14(水)「人とAIが共進化する社会のデザイン~人文・社会科学の自然科学への関与」シンポジウム開催

Category

「人と情報のエコシステム(HITE)」研究開発領域 シンポジウム
人とAIが共進化する社会のデザイン~人文・社会科学の自然科学への関与
日時:2018年3月14日(水)13:00~18:00(受付12時30分~)
場所:東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール

■概要
AIや脳神経科学などの自然科学の進展は、近代以降の人間観―人間が自由意志をもって客体をコントロールしうるーを揺るがしはじめている。「主体」と「客体」の境界が曖昧になる中で、法制度の枠組みや幸福とは何かを問い直すAI時代の新しい学問が今求められている。
学術界の国際的な動向としては、19世紀後半の工業化以降の近代社会において分離が進んだ自然科学と人文・社会科学の連携体制の構築の必要性から、2018年にはICSU(国際科学会議)とISSC(国際社会科学評議会)の2つの組織が統合されることになっている。

こうした潮流の中、科学技術振興機構社会技術研究開発センターでは、2016年に「人と情報のエコシステム」領域を立ち上げ、AIが近代的価値にもたらそうとしている危機に応答すべく自然科学の知と人文・社会科学の知が連携した研究開発を推進してきた。本シンポジウムでは領域関係者が一同に介し、具体的な事例を基に2年間の研究開発の成果を議論し今後のより「良い」AI開発のあり方を提言する。

■お申込み
事前登録制(先着350名)/参加費無料
定員に達した為、お申込みを締め切らせていただきました。多数のお申込みをいただきありがとうございました。

photo photo

■プログラム

13:00-13:10 開会挨拶・趣旨説明
國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 総括)

13:10-13:15 来賓挨拶
原克彦(文部科学省研究振興局 参事官(情報担当))

13:15-13:55 特別講演 「人工知能の研究開発と人文・社会科学への期待」
安西祐一郎(日本学術振興会理事長、人工知能技術戦略会議議長)

14:00-15:10 パネルディスカッション1:「AIは本当に人を幸せにするのか」
安藤英由樹(大阪大学大学院情報科学研究科 准教授)
ドミニク・チェン(早稲田大学文学学術院文化構想学部 准教授)
尾藤誠司(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター政策医療企画研究部臨床疫学研究室 室長 )
大竹 暁(科学技術振興機構 上席フェロー)
モデレーター:國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 総括)

15:30-16:40 パネルディスカッション2:「新しい技術開発に貢献するELSI(Ethical Legal and Social Issues)研究のあり方」
標葉隆馬(成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科 専任講師)
新保 史生(慶應義塾大学総合政策学部 教授)
小長谷明彦(東京工業大学情報理工学院 教授)
モデレーター:城山英明(東京大学大学院法学政治学研究科・公共政策大学院 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 総括補佐)

16:45-17:55 パネルディスカッション3:「AI時代の「責任・主体」を心理学・法学・哲学の観点から検討する」
葭田貴子(東京工業大学工学院 准教授)
稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科 准教授)
松浦和也(秀明大学学校教師学部 講師)
松原仁(公立はこだて未来大学複雑系知能学科 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 アドバイザー)
モデレーター:信原幸弘(東京大学大学院総合文化研究科 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 アドバイザー)

17:55-18:00 閉会の挨拶
津田博司(科学技術振興機構社会技術研究開発センター企画運営室 室長)

■登壇者プロフィール

photo國領二郎
慶應義塾大学総合政策学部 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 総括

1982年東京大学経済学部卒。日本電信電話公社入社。92年ハーバード・ビジネス・スクール経営学博士。93年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助教授。2000年同教授。2003年同大学環境情報学部教授などを経て、総合政策学部長、SFC研究所長も務める。2013年慶應義塾常任理事に就任。現在に至る。

photo 安西祐一郎
日本学術振興会理事長、人工知能技術戦略会議議長

独立行政法人日本学術振興会理事長。文部科学省高大接続改革チームリーダー、人工知能技術戦略会議議長、全国大学体育連合会長、日本ユネスコ国内委員会会長を兼務。元慶應義塾塾長、前中央教育審議会会長。新しい時代の教育・学術・科学技術の発展に力を注いでいる。

photo 安藤英由樹
大阪大学大学院情報科学研究科 准教授

情報理工学博士。錯覚を利用したインタフェースの研究と制作を行う。人間の脳の情報処理の仕組みを巧みに利用することで、今まで以上に直観的な操作を実現したり、無意識的に人間を補助するインタフェース、さらには、感覚や情動を直接的に揺さぶることで驚きや感銘を与える表現装置の研究を行う。

photo ドミニク・チェン
早稲田大学文学学術院 文化構想学部 准教授

1981年生まれ。博士(学際情報学)。NTT InterCommunication Center[ICC]研究員を経て、NPOコモンスフィア(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)理事/株式会社ディヴィデュアル共同創業者。2017年より早稲田大学文化構想学部准教授。2008年度IPA未踏IT人材育成プログラム・スーパークリエイター認定。

photo 尾藤誠司
国立病院機構東京医療センター臨床研究センター政策医療企画研究部臨床疫学研究室 室長

1965 年、愛知県生まれ。 1990 年、岐阜大学医学部卒業後、国立長崎中央病院、国立東京第二病院(現・東京医療センター)、国立佐渡療養所に勤務。 1995 ~ 1997 年 UCLA に留学し、臨床疫学を学びながら医療と社会とのかかわりについての研究活動を行う。著書に『「医師アタマ」との付き合い方』などがある。

photo 大竹暁
科学技術振興機構 上席フェロー

1984年、素粒子・原子核物理学実験を専攻し大学院修士課程修了後、科学技術と社会の関係の遊離を懸念して科学技術庁に入庁。内閣府、文部科学省で科学技術基本計画科学技術政策の策定、光科学技術、数理科学などの研究プログラムの企画、運営、国際協力の推進などに携わる。科学技術振興機構理事を経て2017年4月より現職。

photo 標葉隆馬
成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科 専任講師

専門は科学社会学・科学技術社会論・科学技術政策論。京都大学農学部応用生命科学科卒業、同大大学院生命科学研究科博士課程修了。博士(生命科学)。総合研究大学院大学先導科学研究科助教を経て現職。科学技術を巡るELSI、メディア報道動向、コミュニケーション、科学技術政策の問題などに取り組む。

photo 新保 史生
慶應義塾大学総合政策学部 教授

専門は、憲法、情報法、ロボット法。博士(法学)。憲法学会常務理事、情報通信学会常務理事、法とコンピュータ学会理事。経済協力開発機構(OECD)デジタル経済セキュリティ・プライバシー部会(SPDE)副議長(2009-2016)、総合科学技術・イノベーション会議専門員など国内外の政策立案過程に関与。

photo 小長谷明彦
東京工業大学情報理工学院 教授

1980年東京工業大学 理工学研究科情報科学専攻 修士課程 修了。1980年日本電気株式会社 入社。1995年学位取得 東京工業大学 博士(工学)。専門は情報学と生命科学を融合する分子ロボティクス、知能情報学。人間の体内に入り込める分子ロボットに、感覚や知能を与え、自律的に働くような仕組みを施す研究を行う。

photo 城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科 / 公共政策大学院 教授 /
「人と情報のエコシステム」研究開発領域 総括補佐

1989年東京大学法学部卒業、東京大学法学部助教授を経て現職。2010-2014年東京大学政策ビジョン研究センター長、2012-2014年東京大学公共政策大学院副院長、2014-2016年東京大学公共政策大学院長。専門は行政学で、国際行政、科学技術と公共政策、政策形成プロセスを主な研究対象とする。

photo 葭田貴子
東京工業大学工学院 准教授

京都大学博士(文学)。ハーバード大学心理学部、オックスフォード大学実験心理学部等を得て現職。専門分野は、視覚、触覚、マルチモーダル知覚過程。ウェアラブルサポートロボットや、バーチャルリアリティのようなシステムを、ユーザにとって心理的になじませて,完全に一体化させることを脳科学の観点から研究している。

photo 稲谷龍彦
京都大学大学院法学研究科 准教授

専門は刑事法学。グローバル化の進展や科学技術の発展によって近代法学が直面する現代的課題を解決するために、哲学・経済学・社会学・認知科学といった、法学と隣接する領域の知見を生かしながら,従来の枠組みに囚われない刑事法の解釈・立法論のあり方を探求している。

photo 松浦和也
秀明大学学校教師学部 講師

博士(文学)。専門はアリストテレスを中心としたギリシア哲学。当時の哲学における思考方法のバリエーションを明確にし、そこから現代の人間の新たな思考の可能性を開くことを研究の目的とする。人工知能を社会に円滑に実装するため、「社会的人間とは何か」という根本的問いかけから人工知能の社会的位置づけを模索する。

photo 松原仁
公立はこだて未来大学複雑系知能学科 教授 /「人と情報のエコシステム」研究開発領域アドバイザー

1986年東大大学院情報工学専攻博士課程修了。同年電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所。2000年より現職。将棋、サッカー(ロボカップ)、囲碁、人狼などゲームを対象とした人工知能の研究に従事。2016年交通システムのベンチャー会社「未来シェア」を設立して社長就任。近著に「AIに心は宿るのか」(集英社インターナショナル)。

photo 信原幸弘
東京大学大学院総合文化研究科 教授 / 「人と情報のエコシステム」研究開発領域 アドバイザー

兵庫県生まれ。専門は科学哲学、心の哲学、認知科学の哲学。近年は、脳神経哲学、脳神経倫理、脳神経リテラシーにも取り組んでいる。1995年東京大学大学院総合文化研究科助教授、2000年5月「心の現代哲学」で東京大学博士(学術)、2007年 准教授、2008年教授(広域科学専攻相関基礎科学系)、2011年科学基礎論学会理事長。

■お問い合わせ
「人と情報のエコシステム」運営事務局
E-mail:info-ecosystem[at]jst.go.jp Tel:03-5214-0133 Fax:03-5214-0140