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JSTnews 2019年4月号
JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
2019年4月号
- 特集
- 物理法則の新たな歴史を創るスピン流
- ギ酸の力で水素エネルギーを有効利用
表紙解説
基礎物理法則の歴史に新たな1ページを刻むスピン流を追究する東京大学の齊藤英治教授。従来のエレクトロニクスにはない設計原理で材料や素子を開発できると期待が高まる。
P.03特集 1― 物理法則の新たな歴史を創るスピン流

従来のエレクトロニクスは電子の持つ電荷に注目して構築されてきたが、20世紀後半のナノテクノロジーの発展は、電子の自転であるスピンの利用を可能にした。スピンの流れ、すなわちスピン流の物理現象に世界に先駆けて着目し、スピン流の基礎物理法則を解明してきたのが、東京大学大学院工学系研究科の齊藤英治教授だ。スピン流を組み込んだ電磁気学の体系化とともに、新しいエネルギー技術の開発や次世代磁気デバイスへの応用を目指す。
P.08特集 2― ギ酸の力で水素エネルギーを有効利用

地球温暖化対策の鍵を握ると期待されるのが、化石燃料に代わって水素を利用する水素社会の実現だ。水素は太陽光や風力などを用いて製造可能で、利用の際に二酸化炭素を排出しないことから、再生可能エネルギーの有効利用に適している。一方、普及を阻むのが貯蔵や輸送の難しさで、水素を効率良く貯蔵、輸送できる物質「水素キャリア」が盛んに研究されている。新たなキャリア候補物質として「ギ酸」を利用するため高性能触媒や反応プロセスの研究に挑むのが、産業技術総合研究所の姫田雄一郎上級主任研究員、川波肇上級主任研究員らの研究チームだ。
P.12数字に見る科学と未来― 1人2役の駆動装置で2分の1サイズ レーザーのちらつきを低減

Vol.8 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)
プロジェクターをはじめとしたディスプレイの光源として、明るく色再現性の高い半導体レーザーが注目されている。しかし、レーザー光源には独特の細かいちらつき(スペックル)が発生するという課題があった。スペックルをいかに低減するかが、レーザー光源が普及する鍵を握っている。この低減技術に挑んだのがリコーインダストリアルソリューションズの永瀬修花巻生産センター担当理事と藤村康浩シニアスペシャリストだ。
P.14NEWS & TOPICS― JSTの最近のニュースから

- 研究成果
- ラットの体内でマウス由来の腎臓を作製 再生医療への応用に期待
- 話題
- 日本‐EUの「災害初期対応」共同研究の新規課題が決定
- 研究成果
- 温室効果ガスを有用化学原料に変える触媒を開発 地球温暖化抑止への突破口
- イベント
- 市民が研究者と共につくる新しい市民科学 未来館の「オープンラボ」
ISSN 2433-7927
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