JSTトップ>JSTnews>バックナンバー一覧 2018年度>2018年10月号
JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
P.03
海の生き物を測る 多様性保全に貢献
海洋生物の多様性維持に必要な調査技術の開発に挑んできたのが、CREST「海洋生物多様性および生態系の保全・再生に資する基盤技術の創出」研究領域だ。最終年度を迎えた今、培った技術を結集した海域の調査「フィールドキャンペーン」が進行している。研究領域を率いてきた小池勲夫研究総括の思い、3つのフィールドキャンペーン、そして小池研究総括と中田薫領域アドバイザーとの対談を紹介する。
P.04海の生き物を測る 多様性保全に貢献
漁獲量が激減、サケの生態を探る
サケの稚魚が大海原を回遊し、生まれ育った母川に戻るまでの詳細な生態は謎が多い。東京大学の永田俊教授と総合地球環境学研究所の陀安一郎教授らは、岩手県大槌湾で獲れたサケ体内の微量元素や同位体を分析し、海洋での行動や食性などの生活史を明らかにしようとしている。激減している母川への回帰率や漁獲量の回復の足がかりになると期待される。
P.06海の生き物を測る 多様性保全に貢献
1リットルの水で読み解く魚の生態
私たちを取り巻く環境中には、そこに生息している生物由来のDNAがたくさん含まれている。1リットルの水に含まれる環境DNAを採取し分析することで、生物の種類を網羅的に特定する技術が「環境DNAメタバーコーディング」だ。東北大学の近藤倫生教授と千葉県立中央博物館の宮正樹生態・環境研究部長らによる研究チームは、魚類を対象とした環境DNAメタバーコーディングを世界に先駆けて開発し、昨年夏には全国の沿岸528地点で大規模フィールド調査を実施した。
P.08海の生き物を測る 多様性保全に貢献
深場サンゴ礁が海の生き物を救う
海の生物種の4分の1が生息するサンゴ礁。自ら移動できない造礁サンゴは環境変化の影響を受けやすく、絶滅の危機に追い込まれている。深場のサンゴであれば、地球温暖化や陸からの影響が少なく、生き物の避難地にできるのではないか。この仮説の検証に多様な計測技術で挑むのが、東京大学の茅根創教授と水産研究・教育機構の赤松友成主任研究員らの研究チームだ。
P.10海の生き物を測る 多様性保全に貢献
今、求められる海洋生態系を調べる技術
2011年にスタートしたCREST「海洋生物多様性および生態系の保全・再生に資する基盤技術の創出」研究領域では、海洋生物を調べるためのさまざまな調査技術が開発され、「フィールドキャンペーン」と銘打った実際の海での調査が実施された。研究総括の小池勲夫 東京大学名誉教授と、水産学の視点から領域の運営をサポートする領域アドバイザーの中田薫 水産研究・教育機構理事が本領域が立ち上げられた背景を振り返り、将来の展望を語った。
P.12研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)
カイコの体を「工場」に 伝統が支える新産業
カイコが「薬」を作り出す。そんな製造技術が大学発ベンチャーで実を結ぼうとしている。立役者は、九州大学が前世紀初頭から収集し育ててきた450種のカイコたちだ。技術の開発者である九州大学の日下部宜宏教授と大学発ベンチャー企業「KAICO(カイコ)」の設立に携わった大和建太代表取締役に話を聞いた。
P.14JSTの最近のニュースから
NEWS & TOPICS
【イベント】サイエンスアゴラ2018 AIからファッションまで幅広い話題を取り上げ未来社会をみんなで共有【話題】JREC-IN PortalがEURAXESSと研究人材公募情報のデータ連携を開始【話題】JST研究開発戦略センター(CRDS)が異分野融合型研究に関する報告書を公開
P.16マッチングプランナー
希望と可能性に満ちた世の中にするお手伝い
JST産学連携展開部地域イノベーショングループ マッチングプランナー長岡 由起
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地球最後のフロンティアとも表現される「海」。人間にとって足を踏み入れ難く、圧倒的に未解明な領域の多い海洋の世界を解き明かす研究者たちの挑戦をイメージしたビジュアル。驚くべき多様性を秘めた海の可能性を、四方を海に囲まれ海とともに歩んできた日本人が切り拓く、その最先端を追う。