JST news 2013.8月号

JSTnews

JSTnewsは、独立行政法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。

Index2013-8月号

 

特集1

Feature01

 
P.03次世代バイオミメティクス最前線

進化する生物模倣の世界

長い年月をかけて進化した生物の体には、生息環境に適応した優れた機能が備わっている。その優れた機能を活用することで、さまざまな工業製品が開発されるようになった。こうした手法は、バイオミメティクス(生物模倣技術)と呼ばれ、近年、スポーツ用品や建材、医療などの幅広い産業に利用され始めている。バイオミメティクス研究は、電子顕微鏡技術とともに幕を開けた。その電子顕微鏡の限界を乗り越える技術「ナノスーツ」の登場によって、「生きたままの観察」が可能になり、第2の幕が上がろうとしている。さらに生物の画像とその生態や機能を集積・共有し、研究を促進する動きもある。生物が何億年の歴史の中で獲得してきた独特の機能を学び、応用することで、省エネや安全、環境適合の持続可能な人類文明の創造に、弾みをつけようとしている。

特集2

Feature02

 
P.08高速センサー技術が実現する束縛のない世界とは?

人と一体化する未来型情報環境

部屋中のあらゆる物が、また私たちの体さえもが、モニターやマウス、キーボードに変身し、スマートフォンやパソコンのように情報をやりとりできる。そんな夢のような世界を実現させようとしているのが、東京大学の石川正俊教授らの研究グループだ。今年の5月には、自分の手のひらをスマートフォンのディスプレイに変身させ、しかも触れることなく触覚刺激まで感じられる、新しいシステムを発表した。石川さんと共同研究者の東京大学の篠田裕之教授に、今回開発したシステム、そして高速センサー技術が可能にする未来の情報環境について話を聞いた。

明日へのトビラ

明日へのトビラ

 
P.12収穫量が飛躍的に向上、CO2削減にも貢献

植物の光合成能力を増強する「グルタチオン」

植物は空気中の二酸化炭素(CO2)を取り込み、光合成によってデンプンや糖などの有機物をつくり出す。岡山県農林水産総合センターの小川健一さんは、グルタミン酸など3種類のアミノ酸が結合した「グルタチオン」という物質が、光合成プロセスを大幅に促進させることを発見した。食糧の増産や大気中のCO2削減にもつながる、この画期的なアイデアの実用化を目指している。

TOPICS

TOPICS

 
P.14JSTの最近のニュースから…
TOPICS


先駆ける科学人

先駆ける科学人

P.16戦略的創造研究推進事業さきがけ「エネルギー高効率利用と相界面」領域 研究課題「スピン流を用いた革新的エネルギーデバイス技術の創出」

電子の性質 スピン流で革新的技術を開拓

東北大学金属材料研究所
助教 内田 健一

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Cover Photo

タマムシのメタリックな光沢は、クチクラという透明な物質が十数層重なる外皮の多層膜による干渉で、特定の波長の光が強く反射して生じる(構造色)。 浜松医科大学の針山孝彦教授は、この色が、飛翔時に同種を探す目印になっていることを見つけ、車の塗料で光沢ある色や形を再現(上段)したり、本物のタマムシ(上段左)と同様の多層構造のフィルムを開発し、少しずつ色を変えて試した(下段)が、一匹も近寄ってこなかった。そこで、反射光の偏光まで再現したシート(背景全面)を作成したところ、虫型でなくても多くのタマムシが集まった。虫の捕集に応用できる技術だ。

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