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ムーンショット目標10 プログラム強化に向けた研究交流会 フュージョンエネルギーの早期実現を目指した学際化ネットワーキング

シンポジウムは終了しました。

2025/03/11更新

2025/03/31 17:00

2025/04/09 17:00

開催趣旨

プログラムディレクター 吉田 善章 写真

 ムーンショット目標10(以下、「目標10」)は、2024年度に3つのプロジェクトを採択し、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて研究開発をスタートしました。目標10が掲げる高い目標を達成するためには、一層広い専門分野から課題推進者の参画を得て研究開発体制を強化する必要があると考えています。そのため、2025年度にプロジェクトマネージャー(PM)の公募を予定しています。次回の公募では核心的かつ挑戦的なプロジェクトを幅広く採択できるよう、短期間のステージゲートを設けながら有望なプロジェクトへ選択と集中を図る「マイルストーン型」のプログラム運営を検討しています。
 本研究交流会では、目標達成のために取り組むべき課題を3つのテーマ・領域に整理して、ワークショップを行います。参加者同士が、各々のバックグラウンド、関心のある課題、問題意識などについて「自己紹介」するプレポスターに続き、ポスター形式で議論をしていただきます(研究提案を発表する必要はありません)。ポスター発表の準備は大変かもしれませんが、他の研究者と直接交流できるだけでなく、次の公募提案に向けた貴重なフィードバックを得る絶好のチャンスです。この貴重な機会を逃さず、ぜひ積極的にポスター発表にご参加ください。

※今回の公募にあたり、公募開始後に前回のような公募説明会を開催する予定はありません。

プログラムディレクター 吉田 善章

(1)ネットワーキングへの期待

 目標10は広い分野の連携によって、フュージョンエネルギーの破壊的イノベーションを目指しています。異分野の連携を実りあるものとするためには、核融合分野に既にあるアイデアを中心として異分野の研究者が協力する同心円のような体制ではなく、挑戦的なテーマを共通の焦点としつつ、異分野の研究者のアイデアや技能をもう一つの焦点として新たな方向へ展開する楕円の集合を構築することが肝要であると考えてきました。
 次回の公募に向けて、従来の研究にはなかった新たな着想と、核融合分野で蓄積されてきた知や研究基盤が融合するプロジェクトの提案を期待しています。また、フュージョンエネルギーに関わる国内の大学・研究所が有する共用施設・設備の利用により効果的な予算活用と研究開発を加速できる研究開発チームが編成されることも期待しています。
 上述のような思いから、斬新なアイデアをお持ちの研究者や技術者、さらに研究基盤を有する研究機関の代表が一堂に会し、プロジェクトの提案を具体化する足掛かりとして、ネットワーキングを行えるよう研究交流会を企画しました。
 公募開始前に、アカデミックプランについてのオープンな議論が始まり、研究者間の新たなネットワークが生まれ、素晴らしいプロジェクトの立案につながることを期待しています。フュージョンエネルギーの実用化は、70年余りにわたって世界の研究者が結集して挑戦してきた大きな夢です。その早期実現のために挑戦する意欲のある方は、奮ってご参加いただき活発な意見交換と交流をお願い申し上げます。

(2)研究交流会の対象となるテーマ・領域

 目標10では、前回の公募・プロジェクト採択以降、応募された研究開発課題とともに国内外の核融合研究の動向などを分析し、プログラムを強化するための方策について議論を重ねてきました。その検討に基づき、ポートフォリオを充実させる観点から、重要なキーワードを抽出し、3つのテーマ・領域に分類してワークショップ形式の研究交流会を実施します(表1参照)。
 以下に、3つのテーマ・領域に関するいくつかのキーワードの例を示します(これらは、あくまで限られた例であり、他の独創的なアイデアを排除するものではありません)。

1)革新的核融合方式:

 我が国が進めているフュージョンエネルギー研究開発の「主路線」は、重水素(D)と三重水素(T)を燃料とするトカマク型核融合炉によるベースロード電源の開発です。この主路線以外の様々な核融合反応および装置方式を、ここでは包括的に「革新型核融合方式」と呼びます。例えば、D-D、D-3He、P-11Bなどの核融合反応、多様な磁場閉じ込め方式、レーザー爆縮方式、ビーム駆動方式、あるいはミューオン触媒によるプラズマを用いない方式などが想定されます。核融合反応の多様な応用(オフグリッドのエネルギー源や核融合反応で生成する粒子の応用など)を作業仮説とすることで、主路線以外の革新的なフュージョンエネルギー利用のアイデアが生まれます。そのアイデアを実現するための鍵となる中核的課題は何であるかを示し、そのハードルを越えるとどのような展開が可能となり、どのようなロードマップで社会実装につなげることができるのかを示していただく必要があります。そのプランの中で、最初に通過すべきステージゲートを「マイルストーン」として具体的に示し、そのマイルストーンを達成するための研究開発計画が重要と考えています。新規性が高いアイデアの場合は、最初のマイルストーンは概念設計であることも考えられます。

2)革新的材料:

 フュージョンエネルギーシステムを成立させるためには、極めて高い熱流束とともに、核融合反応で発生する高エネルギー粒子(DT核融合炉の場合は14MeV中性子)の流束にも耐え、さらに様々な物理特性(低放射化、高融点、低熱膨張、高熱伝導、非磁性、長寿命など)の要件を満たす必要があります。コンパクト化など、システムの高性能化を狙うとき、こうした要件は一層厳しくなります。逆に見れば、「材料を制する者は技術を制する」といわれるように、高性能な材料を開発することは、高性能なシステムを実現するための勝ち筋になります。目標10への応募では、材料のイノベーションがどのような高性能フュージョンエネルギーシステムを可能にするのか、その「勝ち筋」をロードマップとして明確にしていただく必要があります。そのうえで、最初に通過すべきステージゲートを「マイルストーン」として具体的に示し、そのマイルストーンを達成するための研究開発計画が重要と考えます。

3)革新的システム:

 フュージョンエネルギーシステムは、多数のサブシステムを統合して成立する複雑系です。例えば、主路線のトカマク型核融合炉の場合、超高温プラズマを閉じ込める磁場システム(超伝導マグネットと冷却システム)、ダイバータ、真空システム、ブランケット、トリチウム循環システム、プラズマ加熱システム、プラズマ計測・制御システム、様々な電源システムなどがあり、それぞれが極限的な性能を求められます。さらに、これらを統合して設計し、製作・据え付けし、安全に運転する技術のイノベーションも必要です。革新的な核融合方式では、これらとは異なるサブシステム(例えば、直接発電や水素製造システムなど)を用いる案もあります。目標10への応募では、こうしたイノベーションがどのような高性能フュージョンエネルギーシステムを可能にするのか、その「勝ち筋」をロードマップとして明確にしていただく必要があります。そのうえで、最初に通過すべきステージゲートを「マイルストーン」として具体的に示し、そのマイルストーンを達成するための研究開発計画が重要と考えます。

※参考情報
https://www.fusion.qst.go.jp/ITER/iter/page1_7.html
https://www.fusion.qst.go.jp/rokkasyo/ddjst/reactor/index.html
表1.研究交流会におけるテーマ・領域の分類とキーワードの例
テーマ・領域 キーワードの例(以下に限定しません)
革新的核融合方式 D-Tトカマク炉以外の様々な核融合反応(D-D、D-3He、P-11Bなど)と多様な方式(様々な磁場閉じ込め方式、レーザー爆縮方式、ビーム駆動方式、ミューオン触媒方式など)
革新的材料 低放射化、高融点、低熱膨張、高熱伝導、非磁性、長寿命などの高性能実現、生産技術、材料開発・試験技術など
革新的システム ダイバータ、ブランケット、同位体分離、高度製作技術・保守技術、先進制御・予測、高効率発電方式、計測・診断など

開催概要

日時 [終了しました] 2025年4月8日(火) 10:00~17:00
2025年4月9日(水) 9:30~17:00
会場 科学技術振興機構 東京本部別館 1F大ホール及びオンライン(Zoomウェビナー)
※ポスターネットワーキングのZoomウェビナーは、前半の一部のみとなります
参加費 無料
参加方法 事前申込制(ポスターネットワーキングではポスター発表者が優先されるため、現地の一般参加者には人数制限がありますのでご了承ください)
ポスター参加は3月31日(月)17:00に締め切りました
一般参加申し込み

一般参加申し込み開始:3月10日(月)9:00

一般の現地参加申込締切:4月3日(木)12:00
オンライン参加申込締切:4月7日(月)17:00

ポスター参加申し込み

ポスター参加申締切(予定):3月31日(月)17:00

  • 各ポスターネットワーキングのプログラム(氏名、所属、役職、仮タイトル)をホームページで公開します。プレポスター・ポスターに参加登録される方はご了承ください。
主催 国立研究開発法人科学技術振興機構
言語 日本語
タイムテーブル

4月8日(火)

10:00 オープニングセッション(9:00開場)
開会挨拶
10:05 フュージョンエネルギー・イノベーション戦略 ~国内外の動向と目標10への期待~ 内閣府/文部科学省
10:30 目標10 研究開発体制の強化に向けて プログラムディレクター
10:55 意見交換会
12:00 オープニングセッション閉会/休憩・ポスター準備(13:00開場)
14:00 ポスターネットワーキング1「革新的核融合方式」
挨拶・テーマの主旨説明 プログラムディレクター
14:10 プレポスター
15:10 ポスターネットワーキング1「革新的核融合方式」(現地のみ)
16:30 PD及び参加者同士のダイアログ(現地のみ)
17:00 ポスターネットワーキング1閉会

4月9日(水)

8:30 開場・ポスター準備
9:30 ポスターネットワーキング2「革新的材料」
挨拶・テーマの主旨説明 プログラムディレクター
9:40 プレポスター
10:40 ポスターネットワーキング2「革新的材料」(現地のみ)
12:00 PD及び参加者同士のダイアログ(現地のみ)
12:30 ポスターネットワーキング2閉会/休憩・ポスター準備(13:00開場)
14:00 ポスターネットワーキング3「革新的システム」
挨拶・テーマの主旨説明 プログラムディレクター
14:10 プレポスター
15:10 ポスターネットワーキング3「革新的システム」(現地のみ)
16:30 PD及び参加者同士のダイアログ(現地のみ)
17:00 ポスターネットワーキング3閉会

各プロジェクトの詳細はこちらよりご覧いただけます

お問い合わせ

科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業部 目標10担当
E-mail:moonshot-goal10メールアドレスjst.go.jp