プロジェクト紹介
目標9 研究開発プロジェクト(2021年度採択)楽観と悲観をめぐるセロトニン機序解明
プロジェクトマネージャー(PM)宮崎 勝彦沖縄科学技術大学院大学 神経計算ユニット シニアスタッフサイエンティスト
概要
「きっとうまくいく」という楽観は、先の見えない未来を信じることや、困難を乗り越えて人生を切り開くために不可欠なこころの活力の一つです。悲観的なのは性格だから、もう齢だから仕方ない・・本当にそうでしょうか?本研究が2050年までに目指すのは、こういったこころの活力、生きる力を可視化し、さらに自分自身で高めていける未来です。
本研究では複数の最新技術を駆使して、ヒトではできない脳深部への侵襲的手法で、実際に行動しているマウスの脳の動きをリアルタイムで観察・操作し、その仕組みを探ります。注目するのは神経伝達物質の一つであるセロトニンです。
セロトニンは将来報酬のための辛抱強さを調節する役割があることが分かっています。私たちはセロトニンが目標達成に向けた「楽観・悲観」を調節する働きをしていると考え、本研究では同じ辛抱を必要とする行動であってもその目的が「喜び」なのか、反対に「苦しみの回避」なのかによってセロトニン神経ネットワークにどのような違いが生じるかを明らかにしていきます。また2023年度からは新たに、報酬やモチベーションに関連するドーパミンとの相互作用にも注目していきます。モノアミン系の神経基盤にはヒトと動物モデルとで一定の共通性があるため、ヒトへの応用が期待できます。本研究は精神疾患の病態解明に関する研究や人工知能の理論に関する研究、さらにブレインマシンインターフェース(BMI)技術等への展開が期待されます。気軽にジムで腹筋を鍛えるかのように、誰もがこころの活力を高められる技術の実現に貢献したいと考えています。
終了時(2024)年のマイルストーン
私たちの心や意思決定に大きく影響を与える神経伝達物質であるセロトニン及びドーパミンの神経活動観察・操作から、楽観(将来に対する確信)・悲観(将来に対する諦め)に因果関係を持つそれぞれのサブシステムおよび相互作用を明らかにします。報酬獲得・罰回避という生命維持に不可欠な行動を組織する過程における各神経修飾物質の神経活動を実時間で直接観察・操作し、その役割を動的に理解することで、私たちのこころに楽観や活力が生まれる仕組みを解き明かします。
研究開発項目および成果概要
課題推進者リスト
研究開発項目[1][2] | 宮崎 勝彦 | 沖縄科学技術大学院大学 神経計算ユニット シニアスタッフサイエンティスト |
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研究開発項目[2] | 宮崎 佳代子 | 沖縄科学技術大学院大学 神経計算ユニット シニアスタッフサイエンティスト |
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