成果概要

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量子計算網構築のための量子インターフェース開発[2] オプトメカニカル共振器

2025年度までの進捗状況

1. 概要

量子コンピュータを構成する物理系としてダイヤモンドは優れた特性を示し、超伝導量子などと光量子の接続に最適です(図1)。本プロジェクトでは、超伝導量子と光量子をダイヤモンドオプトメカニカル結晶(ダイヤモンドOMC)で量子接続し(図2)量子コンピュータのネットワーク大規模化を目指します。特に本研究開発テーマでは、フォトニック結晶光共振器とフォノニック結晶音共振器を両立する構造のダイヤモンドOMCの作製、及びその基本特性の実証に成功しました。また、超伝導マイクロ波共振回路と光結合回路をモノリシックに搭載したシリコンチップへのダイヤモンドOMCのチップレット実装、極低温で高効率な16アレイ光ファイバーピグテール実装を実現しました。

図1
図1.量子コンピュータを構成する物理系の候補と比較
図2
図2.量子インターフェースにおけるオプトメカニカル共振器の役割

2. これまでの主な成果

研究開発課題1:フォトニック結晶光共振器の研究開発

作製プロセスの更なる高度化を図り、光Q値12,000のダイヤモンド光ナノ共振器構造を実現(図3(a)(b))しました。これは当初設定していた目標値の10倍以上の値です。また、これまでに確立してきた技術を活用し、光回路装荷用光ナノ共振器、オプトメカニカル共振器構造を多数作製し、集積素子プロトタイプの実現に大きく貢献しました。

図3
図3.高Q値ダイヤモンフォトニック結晶ナノビーム共振器:(a) SEM像、(b)室温における顕微発光測定で得られたスペクトル
研究開発課題2:フォトニック結晶光共振器の実装技術の開発

光ファイバーからダイヤモンドオプトメカニカル共振器まで低損失で接続するインターフェースの実現を目指しました。シリコンフォトニクスプロセスにより製作されるSiN導波路チップの上にダイヤモンドOMCを転写プリントし、光ファイバーから光結合させます。一次試作チップで光ファイバーから共振器までの光伝搬を確認し、超伝導マイクロ波共振器をモノリシックに搭載した二次試作を行い、光ファイバー入出力によるダイヤモンドOMCの励起・発光スペクトルの取得に成功しました(図4)。

図4
図4.(左)一次試作、(中央)共振器への結合、(右)二次試作
研究開発課題3:フォノニック結晶音共振器の研究開発

フォトンとフォノンを共振器に閉じ込め、強い光-機械結合を可能にするために、ダイヤモンドとシリコンの共振器(図5)を設計・作製しました。設計は作製可能な条件を考慮し、設計光共振器Q値と機械共振器Q値は、両方とも105を超えます。共振器上に設置される圧電パッドに、近接電極を用いて電圧を印加することで、逆圧電効果が発生し音響モードが駆動されます。

図5
図5.(左)光機械共振器系の概略図と光・機械共振器モードの分布図、(右)電極を介して励起される圧電パッドとシリコン光機械共振器のSEM像

3. 今後の展開

ダイヤモンドOMC共振器の性能向上とともに、量子メモリやマイクロ波共振器との融合を図り、超伝導光量子インターフェース実証と超伝導量子ビット間の光量子接続を目指します。