成果概要

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量子計算網構築のための量子インターフェース開発[1] ダイヤモンド量子メモリ

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本プロジェクトでは、誤り耐性型大規模量子コンピュータの実現に向けた量子コンピュータと量子通信の統合を目指し、超伝導量子などと光量子をハイブリッド接続する量子インターフェースを開発しています(図1)。本研究開発テーマでは、量子メモリとなる色中心を内包するダイヤモンドオプトメカニカル結晶(OMC)における音(機械振動)と光の共振効果の両立を実証し、マイクロ波と光を双方向に結ぶ量子インターフェース機能の実証に成功しました。また、超高純度ダイヤモンド製造、集積化に向けたダイヤモンドメンブレン、レーザー冷却イオンによるダイヤモンドへの高精度単一イオン注入などのナノテク基盤技術開発を行いました。

図1
図1.量子コンピュータ間の光ファイバー量子通信。

2. これまでの主な成果

研究開発課題1:ダイヤモンド量子メモリの研究開発

【量子メモリの高性能化と光接続】ダイヤモンドNV中心を用い、高忠実度(99.97%)かつ高速な量子メモリを開発。2ノード間を発光・吸収で繋ぐシステム実証に成功しました(図2)。また、中性電荷状態の軌道制御技術により、従来の1000倍のマイクロ波結合強度を実現しました。

図2
図2.NV中心の2ノードシステム。

【マイクロ波・光の量子インターフェース】ダイヤモンドナノフォトニック構造内で、マイクロ波から誘起された機械振動とSnV中心を連携し、マイクロ波と光を双方向に結ぶ量子インターフェース機能の実証に成功しました(図3)。

図3
図3. マイクロ波-光の干渉。
研究開発課題2:ダイヤモンド量子構造の研究開発

【ダイヤモンドナノ構造の作製】弾性波を用いたスピン操作の高効率化に向け櫛型電極のパターンサイズおよび共振器構造の改良を実施するとともに、量子構造作製に向けた電子線リソグラフィ、エッチング、絶縁膜形成、電極形成など微細加工プロセス技術を構築しました。また、イオン注入を用いたスマートカット法で厚み200nm程度のメンブレン構造の試作に成功しました(図4)。

図4
図4. スマートカットによるメンブレン作成工程(左)、SEM像(右)。
研究開発課題3:ダイヤモンド量子結晶の研究開発

NV中心についてダイヤモンド結晶の超高純度化によるスペクトル拡散低減を、SiV中心については成長条件最適化により5Kで不規則な発光明滅なしを達成しました。

研究開発課題4:ダイヤモンド色中心探索の研究開発

【ダイヤモンド色中心の形成装置開発】
ダイヤモンドのナノ構造に高い位置精度でイオンの個数を制御して注入する技術開発を行いました。まず、ポールトラップ中に紐状クーロン結晶を形成し、それを閉じ込めているDC電圧を精密制御してイオンを引き出しました(図5)。その後、イオンを1つ1つ引き出して照射することにも成功しました。

図5
図5.イオントラップ中に形成した7つのイオンからなる紐状クーロン結晶及び、イオンを引き出した後に検出器及びオシロスコープで計数された信号。7つのイオンが検出された。

3. 今後の展開

量子メモリ内包ダイヤモンドオプトメカニカル結晶(OMC)の性能向上を図り、超伝導―光量子インターフェースの実証を目指します。