低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2022-PP-06

日本の木質バイオマスの持続可能なポテンシャル
―木質バイオマスの今後の需要と供給可能性―

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概要

 日本の最新の森林・林業基本計画(林野庁:2021年6月閣議決定)の目標によると、2017年度の森林の年間総成長量は0.68億m3/年(幹材積:森林資源現況調査)だが、2040 年度の目標は0.63億m3/年と減少している。また、2030年の木材自給率の目標は48%であり、最終的な目標は明示されていない。世界有数の森林国である我が国は、適切な計画と管理の下で将来(50~100年後)の木材自給率を100%とすることが可能であろう。

 本提案では、各地方自治体の最新の調査によるデータをもとに日本の森林の年総成長量を推計することで、少なくとも現在の年総成長量を維持する方法および、今後の森林資源の在り方を提案する。また、今後の木材需要については従来の燃料、パルプ、建築/土木用材に加え、最近研究が進んでいる木質バイオマスのプラスチック化を想定し、2050年以降に必要な木材の供給量を総括的に検討した。
 その結果、毎年同じ面積の主伐と再造林を行い、現在の森林面積を維持した場合、長伐期施業を行えば、総年成長量1.1億t/年を持続的に維持できることが分かった。この場合、木材自給率は100%以上が可能である。さらに、新たな産業として、木質バイオマスをプラスチックの原料として活用する場合では、化石資源由来プラスチックの現在の年間需要量である約0.1億t/yを賄えるだけの森林資源がある見通しが得られた。さらなるコストダウンが必要であるが、木材の新たな需要源としてプラスチックへの利用は期待できる。各需要への割り当ては、新たな技術開発や需要動向にもよるため、今後の課題である。

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