低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2021-PP-16

バイオマス混焼発電を用いたBECCS による炭素排出量削減のライフサイクル評価

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概要

 バイオマスエネルギーの利用とCO2回収貯留を組み合わせたBECCS(Bio-Energy with Carbon Dioxide Capture and Storage)は、大気中のCO2を削減する技術として期待されている。しかし、正味のCO2排出量を負にするには、BECCSに関わる各プロセスの条件の影響を把握し、全体を適切に設計する必要がある。本提案書では、石炭火力発電の低炭素化と、バイオマスエネルギーの有効利用の観点から、木質バイオマスの微粉炭火力発電所での混焼発電に注目し、これにCO2回収貯留を組み合わせた場合の正味のCO2排出量をLCAの手法を用いて評価した。

 原料木質バイオマスの収集、チップ製造、発電所までの輸送、および発電所での乾燥、粉砕、石炭の粉砕、それらの燃焼による発電、脱硝、脱硫の排ガス浄化、排ガスからの化学吸収法によるCO2回収、および輸送・貯留のための圧縮プロセスに伴う温室効果ガス排出量をLCAにより算定した。その結果、550MWeの微粉炭火力発電所において、CO2回収率が90%のとき、正味のCO2排出量が負になるためには、バイオマスの混焼率を13.6%(熱量ベース)以上にする必要があることが明らかとなった。また、CO2回収率の低下に伴い、正味のCO2排出量を負にするための混焼率が増大することが明らかとなった。

提案書全文

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