低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2021-PP-13

水素直接還元製鉄法の評価と技術課題

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概要

 日本の2019年度の二酸化炭素排出量は1,179Mtである。うち鉄鋼部門は、間接排出量で155Mt(14.0%)であり、二酸化炭素排出削減のために占める位置づけは非常に大きい。

 鉄鋼部門の低炭素化のため、コークスを用いて鉄鉱石を還元する高炉法とH2を用いる水素直接還元法(水素DRI法)を比較検討し、二酸化炭素排出原単位と製造コストおよび課題を検討した。原材料に起因する二酸化炭素の排出原単位は、高炉法1.9kg-CO2/kg水素、DRI法0.06kg-CO2/kgである。また高炉法の銑鉄コストは46円/kgであり、水素DRI法のコストは70円/kgである。水素DRIコストでは水素コストの価格に占める割合が非常に大きい。
 ZC(Zero Carbon)対応で、排出する二酸化炭素の捕集をアミン法-DAC法で実施すると貯留国内ベースで二酸化炭素捕集コストは8円/kg-CO2である。高炉法で二酸化炭素を全量捕集するためには、高炉法は15円/kgのコスト増で実質の銑鉄価格は61円/kgとなり、水素DRI法のコストに近づく。
 鉄鉱石の還元反応は高炉法では発熱反応、水素DRI法では吸熱反応で外部からエネルギーを供給する必要がある。ただ反応速度は大きい。日本では稼働しておらず、経験の少ない方法である。そのために、炉の最適構造などの技術検討と全製鉄工程の合理化検討などについて精力的に取り組む必要がある。

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