低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2020-PP-19

需要の構造変化に着目した産業連関モデルの拡張(Vol.1)
-投入係数と資本係数の変化とモデル開発-

  • SDGs7
  • SDGs9
  • SDGs13

概要

 低炭素社会からさらにゼロエミッション社会に至るには、個々の既存設備の省エネルギー化や排出削減機器の付加のみでは不十分であることは周知であり、情報技術の活用を含む消費者側も巻き込んだ社会的な変化が必要と指摘されている。

 例えば、①産業部門/家庭部門へのICT技術(SaaS/クラウドコンピューティング、情報サービス)、②EV等新型自動車導入とインフラ整備、③輸送サービスとしてのカーシェアリングやMaaSの導入などは低炭素化に寄与すると期待されているが、これらは既存の低炭素化とは異なる新しいサービスの提供である。これらと、④住宅のZEH、ZEH-ready化など民生部門の省エネルギー化は、これまでの発電部門のゼロエミッション化、産業部門の低炭素化と相俟ってゼロエミッション社会に至るものと期待される。
 このような多分野の需要側の変化と供給側の変化が全体としてどのような姿の社会経済を描くかの定量的評価については、産業連関分析モデルが有用と考えられる。しかし、これまでの産業連関分析の適用例は、発電部門の再生可能エネルギー導入拡大効果や新型自動車の導入による需要の波及効果などが主に扱われており、将来の投資構造の変化の影響まで扱った例は野村[1]のJES5モデルに例を見る程度である。ここでは、上記情報技術の導入や家庭部門の変化を、投資構造まで含めて産業連関分析に導くための投入係数ベクトルや資本係数行列の拡張を行い、これらの推計結果を総合的に評価するための産業連関分析モデルを構築する。電力部門では有価証券報告書から資産や資本行列の細分化を行った。さらに産業部門の化石燃料最終消費のゼロエミッション化シナリオを与え、2030年での産業の全体像評価の一例を計算した。この計算は作業の整合性検証のためのものであり、これ単独でシナリオ構築を目指すものではない。現在低炭素社会戦略センター(LCS)で進められている産業構造の全体像評価の一翼を担うものと位置づけられるものである。

提案書全文

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