LCS-FY2020-PP-03
情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.2)
―データセンター消費エネルギーの現状と将来予測および技術的課題―
概要
2018年度提案書[1]では情報化社会の進展に伴う世界のIPトラフィックが2030年に現在の30倍以上、2050年に4,000倍に達する予想を前提として、それに伴う膨大な消費電力増加の可能性を指摘した。本提案書では、データセンターの消費電力について、その構成機器に着目してどのような設備・機器がどの程度消費電力の増大に寄与しているかを検討した。
また、トラフィックの増加と計算負荷が関連する業務をベース業務とし、近年比重を増しているディープラーニングなど、トラフィック量とは直接関連しないと思われる業務をAI業務とし分けて検討した。
その結果、2018年のデータセンターの消費電力は国内14TWh、世界が190TWhと推定された。さらに、現在の計算負荷の増大傾向が将来にわたって継続し、現在入手可能な最新機器を用いたと仮定したときの(将来の技術進歩は織り込まない)消費電力は、国内が90TWh(2030)、12,000TWh(2050)、世界が3,000TWh(2030)、500,000TWh(2050)と推定された。
データセンター消費電力の50%をサーバが、25~30%を電源と冷却系が、次いでストレージが10%程度を占める。特にサーバは将来的にはデータセンター消費電力の60~80%を占めると推定され、この消費電力の低減が最も重要である。消費電力低減効果が大きいデバイスはCPU、GPUであり、消費電力性能(Gflops/W)として2030年に現在の3~10倍程度、2050年には1,000倍程度が目標となる。またメモリ、電源、ストレージも2030年に1/10、2050年に1/1,000程度への消費電力低減が目標となる。