低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2016-PP-17

民生家庭部門の省エネルギー促進からの低炭素社会実現(Vol.3)

概要

 本報では、生活の質を落とさずに家庭部門の低炭素化を実現するための方策を検討した。
 家庭への省エネ情報の提供は、新たに設備機器を導入することなく実施できる低炭素化策として有望である。LCSでは社会心理学に基づき、“Nudge”の概念や目標値の設定(Goal/Target Setting)を取り入れた節電アドバイス機能を開発し、i-cosmosに実装した。

 さらに、本機能が家庭の行動変容にもたらす効果を検証するための予備的実験を冬期に実施し、本機能により節電が促される傾向を確認した。また、複数の家庭をグループ化して、グループ全体の目標値も表示した方が、より高い節電効果を得られるとの結果を得た。
 太陽光発電や燃料電池など新たな設備機器の導入も、生活の質に影響を及ぼさない家庭の低炭素化策として有望である。低炭素化設備(太陽電池、蓄電池、燃料電池)の導入効果を、実データに基づき検証した結果、一般的な住宅と比べて約68%のCO2削減効果(年間約2.5t-CO2削減相当)があり、光熱費(水道代を除く)に関しては年間約11万円削減される、との推計結果を得た。調査対象住宅における3電池の導入費用は、年経費換算で現状の21万円前後から、2030年には3万円前後まで低下すると予想されることから、3電池の導入はCO2削減に貢献するほか、将来的には既存住宅においても、経済的な導入メリットが生じ得ると推測された。

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