低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2013-PP-02

太陽光発電システム
—要素技術の構造化に基づく定量的技術シナリオと科学・技術ロードマップ—

概要

 太陽光発電システムが補助金や固定価格買取制度の支援なく普及を続けるために、製造コスト低減に向けた戦略的な技術開発が必要であり、個々の技術課題の影響と経時的な相互関係を定量的に評価することが求められる。

 LCSでは、構成材料の物性から製品の性能・形状に至る要素技術を階層的に整理し、コスト低減のための研究課題の経時的な効果と相互関係について構造化することにより、重要な技術開発課題を明らかにしている。また、将来の技術進展を考慮し、製造工程を詳細に分析した「定量的技術シナリオ」を構築することにより、技術開発の定量的な影響評価を可能とする。これらの分析結果に基づき、研究課題を階層的に整理し、達成目標と達成時期を明確にした「科学・技術ロードマップ」を描き、個々の技術開発とその影響を定量的に評価している。
 定量的技術シナリオの分析結果から、太陽光発電システムのシステム原価が現状163円/Wから2020年に97円/W(11円/kWh)、2030年に57円/W(5円/kWh)と低減する道筋が示された。2030年に発電コスト5円/kWhを達成し、さらに2050年にむけたコスト低減のための重要技術開発項目を明らかにし、将来のコスト低減可能性を示した。
 本稿ではさらに、要素技術の構造化に基づく「科学・技術ロードマップ」を用いて2030年に向けたコスト低減の要素技術の達成目標と研究課題を経時的に示している。そのための推進政策が適切に実行されることにより、2030年以降に太陽光発電システムの100GW単位の大規模利用が可能となる。また、2012年時のLCSの技術評価との比較から、太陽光発電システムでは1~2年ごとに技術の進展を考慮した設計・評価を継続していくことの重要性を示している。

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