数学と諸分野の連携に向けた若手数学者交流会(第6回)2025

数学と諸分野の連携に向けた若手数学者交流会(第6回)2025

数学の若手研究者(若手教員・ポスドク・大学院生)が、諸分野との連携から生まれる新しい数学の潜在的可能性を感じ取り、あるいは再認識して、それぞれの研究の方向性やキャリアパスを再考する機会となることを目指した研究交流の場として、以下のような企画を実施致します。今年度も対面開催となります。大勢の皆様にご参加いただき、活発な議論や交流をしていただけることを願っています。

世話人:
坪井 俊(東北大学 特任教授)
國府 寛司(京都大学、CREST「数理的情報活用基盤」領域アドバイザー)
坂上 貴之(京都大学、さきがけ「数理構造活用」研究総括)
若山 正人(NTT 基礎数学研究センタ 数学研究プリンシパル/九州大学 名誉教授)
吉脇 理雄(JST研究開発戦略センターフェロー)

【前回の若手数学者交流会HP(参考)】
「若手数学者交流会(第5回)2024」

開催概要

日時
2025年3月16日(日)  13:00-18:30(予定)
2025年3月17日(月)  10:00-12:20(予定)
会場
「AP市ヶ谷」 6階 Cルーム
https://www.tc-forum.co.jp/ap-ichigaya/access/
主催

JST科学技術振興機構

後援

日本数学会、日本応用数理学会、統計関連学会連合

参加について
※「参加登録」より参加申し込みをお願いします。
参加費:無料
参加定員:50名
お問い合わせ
東京都千代田区五番町7 K's五番町
国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ
mathsympo[at]math.jst.go.jp
(上記の[at]を@に置き換えてください)

参加登録

参加をご希望の方は2025年3月11日(火)までに下記より参加申込をお願いいたします。

参加費:無料
参加定員:50名(定員になり次第、受付を締め切りさせていただきます。)

プログラム(敬称略)

3月16日

13:00

開会挨拶 坪井 俊 (東北大学 特任教授)

13:10

基調講演 『上り坂,下り坂,まさかの坂あり』 宮岡 礼子 ( 東北大学 名誉教授)

14:00

休憩

14:10

フラッシュトーク1

ポスターセッション1

14:40

コアタイム発表者

・Transport distance between Grover walks on graphs and coarse Ricci curvature

藤谷 恭明

・Geometric Brascamp-Lieb inequality

辻 寛

・Calabi-Yau-N quiver categories and q-deformations

任 鑫

・On a series of simple affine VOAs at non-admissible level arising from rank One 4D SCFTs

Bohan LI

・Virasoro tensor category at a negative rational level

Hao Li

・On 2d-nonlinear Schrödinger equations with point interaction

深谷 法良

・植物間コミュニケーションの数理モデル

岩倉 康樹

16:20

フラッシュトーク2

ポスターセッション2

16:50

コアタイム発表者

・データの有限性を考慮した力学系学習理論の拡張

山田 泰輝

・ラマン分光法による骨髄異形成症候群MDSの数理解析

米澤 翔汰

・連立Cahn–Hilliard方程式系の自由エネルギー風景の大域的探索

香川 渓一郎

・表面張力差で駆動する変形しない自己駆動系の反応拡散・界面モデルによる数値解析

本橋 樹

・Gromov-Wasserstein最適輸送を用いたトランスクリプトーム種差解析

德田 有矢

・最適輸送理論を用いた遺伝子発現の時空間再構成

岡本 潤

・Mathematical analysis of a partial differential equation system on the thickness

中安 淳

・On the Langevin deformation for Renyi entropy on Wasserstein space over Riemannian manifolds

Rong LEI


3月17日

10:00

事務局案内

10:05

フラッシュトーク3

ポスターセッション3

10:35

コアタイム発表者

・Maxwell origamiの幾何学・運動学と離散力学系

今田 凜輝

・深層Koopman-layeredモデル

橋本 悠香

・Composing Codensity Bisimulations

郡 茉友子

・計算における位相的対称性

モンタキュート・ヨアフ

・予算制約を伴うオークションへのポリマトロイド理論の応用

佐藤 良亮

・移流方程式の数値計算におけるトポロジー正則化

竹田 航太

・身近な水環境や水産資源の諸問題への数理科学的アプローチ

吉岡 秀和

12:15

閉会挨拶 坂上 貴之(京都大学 教授)

主要参加プロジェクト(敬称略)

  • CREST「数学・数理科学と情報科学の連携・融合による情報活用基盤の創出と社会課題解決に向けた展開」研究領域

    CREST

    研究総括: 上田 修功(NTTコミュニケーション科学基礎研究所・フェロー/理化学研究所革新知能統合研究センター副センター長)

     様々な科学分野や産業界で生み出されている膨大なデータを活用し新たな科学的・社会的・ 経済的価値を創出していく上で、数学・数理科学と情報科学とが連携・融合した新たな概念や アプローチの創出が不可欠となっています。メカニズムをモデル化する数理モデル型アプロー チとビッグデータを活用するデータ駆動型アプローチとがそれぞれの強みを相補的に活かした 革新的な情報活用手法の創出を通じて、実社会における情報活用の加速・高度化が期待されて います。本研究領域では、AIやビッグデータ解析などのデータ駆動型のアプローチだけでは困 難な実社会の問題解決や付加価値創造に対して、数理科学と情報科学の連携・融合による新た な基盤技術の創出を目指します。具体的には、以下の研究開発に取り組みます。
     (1)数学の発想を取り入れた新たな情報活用手法の創出に資する理論及び技術の構築
     (2)数学・数理科学と情報科学を繋ぐ新たなサイエンスの創出
     (3)様々な分野や産業界における情報の活用を加速・高度化するデータ解析アルゴリズムやソフトウェア等の次世代アプリケーション基盤技術の創出
     上記によりインパクトある社会課題の解決につなげることを目指します。

  • さきがけ「未来を予測し制御するための数理を活用した新しい科学の探索」研究領域

    さきがけ

    研究総括:荒井 迅(東京科学大学 情報理工学院 教授)

     様々な社会課題の地球規模での深刻化や新たな社会的問題の顕在化が起こる中、地球をグローバル・コモンズとして守り、育てるとともに、人々の安全と安心を確保できる社会の実現が求められています。実現に向けては、あらゆる情報・データを駆使し、社会課題をはじめとした直面する脅威や状況の変化をできる限り早期に検知し、最適な意志決定と対応が可能な新たな社会基盤を構築していくことが必要です。
     そのためには、複雑な自然・社会現象を解明・解析し、その変化の重要な兆しや変革点を的確に捉えて「予測」し、取り返しのつかない悪い状態への遷移を回避しなくてはなりません。加えてこうした予測に基づいた事象への介入により、最終的により望ましい状態へと導く(もしくは良好な状態を維持する)「制御」に関わる新しい学理と革新的な技術を創出していくことが重要です。また、不可能な目標に向けてリソースを割くのは持続可能性の観点から望ましくないため、そもそも予測や制御が可能な現象なのかという問題も問わなくてはなりません。
     本研究領域では、社会課題に関係する各分野における複雑な現象や多様なデータを、数学・数理科学によって抽象化及び可視化することで解明・解析し、その結果を現象の予測や制御に繋げるための新たな基礎学理の創出を目指します。
     具体的には、社会課題を構成する様々な現象から数学的な構造を抽出し、現象の起点や変化点における因果関係や主要因を説明する変数を探索します。さらに、現象に関する専門的知見も活用しながら、その確からしさの検証・実証や、それに基づく予測・制御の実現可能性の検証に取り組みます。

  • ERATO「メタ数理システムデザイン」研究領域

    ERATO

    研究総括: 蓮尾 一郎(情報・システム研究機構 国立情報学研究所・准教授)

     今日の製造業においては、高度な情報処理技術を用いた自動化とソフトウェア支援により、設 計から生産に至る工程の様相を根本的に変える取り組みが進んでいます。この背景のもと、本プ ロジェクトでは従来のものづくり技術にソフトウェア科学の成果を導入し、仕様策定から設計、 実装、保守まで工業製品開発のさまざまな側面を支援するソフトウェア・ツールの構築を目指し ています。具体的には、「形式手法」というソフトウェア科学における数学を基盤としたシステ ム設計の技法を取り込むことにより、製品の品質保証や効率化へのソフトウェア支援を大きく推 進します。工業製品の開発に形式手法を適用するには、物理系の連続ダイナミクスや確率・時間 などの連続的要素を包含するように形式手法を拡張することが必要です。この理論的困難に対す る独自のアプローチとして、形式手法の拡張の過程そのものを数学的に解析し、高次(メタレベ ル)の理論を構築することで、形式手法の諸技法を一挙に拡張することを目指しています。

  • ERATO「マーケットデザイン」研究領域

    研究総括 小島 武仁(東京大学 大学院経済学研究科 教授)

     近年、望ましい制度を科学的に設計する「マーケットデザイン」の研究が進み、様々な資源配分問題に対して制度を設計して実用化することができる段階に至っています。他方、汎用性の高い一般理論が確立されていないことや、信頼性の高い制度導入効果の予測や事後的な測定が不十分であるために、実社会の制度を改善できた例は限られています。
    本プロジェクトでは、マーケットデザインの主要理論であるマッチング理論を中心に、制度設計の理論を実社会で広く生かし、その結果として得られた検証結果などの知見を理論へ還元するサイクルを積み重ねていくことで、既存のマッチング理論が適用できる制約の条件や、与えられた制約の下で最大の効果をもたらす制度の構造を明らかにし、適用範囲の広い理論を構築するとともに制度を工学的に社会に適用する手段を具現化します。さらに、可分財を中心に扱ってきた従来の経済理論と不可分財を扱うマーケットデザインを融合する統一理論の構築に挑むことで、あらゆる制度を科学的に設計する社会の実現を目指します。

  • ムーンショット目標2

    ムーンショット目標

    ●複雑臓器制御系の数理的包括理解と超早期精密医療への挑戦

    プロジェクトマネージャー: 合原 一幸(東京大学 特別教授/名誉教授)

     数理データ解析や数理モデル解析などの数学的研究を、臓器間相互作用と制御に関する実験研究と統合する研究を実施します。特に、健康状態から疾病状態へ状態遷移する前の未病状態を数学的に定義し、未病の早期発見とネットワーク制御理論による超早期治療方法を提案します。それにより、2050 年には、臓器間ネットワークを複雑臓器制御系として包括的に理解し、その知見を超早期精密医療へ応用することで、疾患の超早期予防システムが整備された社会の実現を目指します。


    ●恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服

    プロジェクトマネージャー: 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科 教授)

     まず、個体レベルでの恒常性、特に、糖代謝における制御メカニズムの機序を明らかとします。なかでも、代謝・循環の調節に重要である自律神経を介した臓器間ネットワークの機序を包括的に検討し AI・数理モデル解析などを活用して、その全貌の解明を目指します。このメカニズムの変調により生じる糖尿病やその併発疾患について、未病期段階の状態をより精密に解き明かします。そのうえで、これらを活用し、未病段階の検出法、および、人為的に制御する手法の開発につなげます。それにより、2050 年には、糖尿病および併発疾患について、未病段階で見出し、未然に防ぐ社会の実現を目指します。

  • 未来社会創造事業 未来医療を創出する4次元トポロジカルデータ解析数理共通基盤の開発

    研究開発代表者: 坂上 貴之(京都大学 大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 教授)

     高齢化が進む世界の国々では、高い医療の質を確保しながら高騰する医療コストを大幅に低減することが求められています。そのためには、様々なデータを活用した効率的な診断や創薬が求められますが、現状の検査データや臨床データから得られる情報の活用には限界があります。例えば循環器医療では心血流に現れる渦の「かたち」を見ることが診断の精度や効率の向上につながると期待されますが、現状の心エコーやMRI装置の心血流画像データからそのような情報を取得することは困難です。また、感染症創薬における臨床試験では、ウイルス量など病態進行に伴うバイオマーカーの時間変化を適確に予測できれば、臨床試験の期間の圧縮とコストの削減が期待できますが、データ量や解析法の限界によりまだ実現していません。
     本研究開発課題では、探索研究において実施した、①心血流エコー画像やMRI画像から血流渦パターンの「かたち」を言語化する解析手法(トポロジカルデータ解析)の開発と臨床診断への応用および、②薬剤開発の時間変化の予測手法(数理モデリング)の開発と抗ウイルス薬の臨床治験デザインへの応用を実証した2つの成果を元に、数理科学の両手法を融合した新たな手法を開発します。

  • 科学研究費助成事業

    数学に関連した下記プロジェクトに参加している若手研究者による講演、ポスター発表を予定しています。
    ・基盤研究(S)/研究代表者:桑江 一洋(福岡大学)
    ・基盤研究(S)/研究代表者:高橋 篤史(大阪大学)
    ・基盤研究(S)/研究代表者:荒川 知幸(京都大学)
    ・基盤研究(S)/研究代表者:小澤 徹(早稲田大学)
    ・基盤研究(S)/研究代表者:佐伯 修(九州大学)
    ・学術変革領域研究(A)/研究代表者:長山 雅晴(北海道大学)
    ・学術変革領域研究(A)/研究代表者:平岡 裕章(京都大学)
    ・学術変革領域研究(B)/研究代表者:山田 崇恭(東京大学)
    ・学術変革領域研究(B)/研究代表者:舘知 宏(東京大学)