数学と諸分野の連携に向けた若手数学者交流会(第4回)2023

数学と諸分野の連携に向けた若手数学者交流会(第4回)2023

数学の若手研究者(若手教員・ポスドク・大学院生)が、諸分野との連携から生まれる新しい数学の潜在的可能性を感じ取り、あるいは再認識して、それぞれの研究の方向性やキャリアパスを再考する機会となることを目指した研究交流の場として、以下のような企画を実施致します。今年度も対面開催となります。大勢の皆様にご参加いただき、活発な議論や交流をしていただけることを願っています。

世話人:
坪井 俊(武蔵野大学、理研iTHEMS副プログラムディレクター)
國府 寛司(京都大学、CREST「数理的情報活用基盤」領域アドバイザー)
坂上 貴之(京都大学、さきがけ「数理構造活用」研究総括)
若山 正人(JST研究開発戦略センター上席フェロー、NTT基礎数学研究センタ統括・研究プリンシパル)
吉脇 理雄(JST研究開発戦略センターフェロー)

【前回の若手数学者交流会HP(参考)】
「若手数学者交流会(第4回)2023」

開催概要

日時
2024年3月11日(月)  13:00-18:30(予定)
2024年3月12日(火)  10:00-12:20(予定)
会場
「ビジョンセンター西新宿」 704
https://www.visioncenter.jp/nishishinjuku/access/
主催

JST科学技術振興機構

後援

日本数学会、日本応用数理学会、統計関連学会連合

参加について
※「参加登録」より参加申し込みをお願いします。
参加費:無料
参加定員:80名
お問い合わせ
東京都千代田区五番町7 K's五番町
国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ
mathsympo[at]math.jst.go.jp
(上記の[at]を@に置き換えてください)

参加登録

参加をご希望の方は2024年3月6日(水)までに下記より参加申込をお願いいたします。

参加費:無料
参加定員:80名(定員になり次第、受付を締め切りさせていただきます。)

プログラム(敬称略)

3月11日

13:00

開会挨拶 坪井 俊(武蔵野大学 特任教授)

13:10

『30代までの研究生活を振り返って』

森 重文
(京都大学 特別教授)

14:00

休憩

ポスターセッション1

14:10

フラッシュトーク1

14:40

コアタイム発表者

・二種のLotka-Volterra競争拡散系:解の伝播現象

蕭冬遠

・Explicitly multi-modal benchmarks for multi-objective optimization

太田 亮輔

・数理科学が描く古気候の風景

岡﨑 淳史

・Weakest Preconditions in Fibrations

勝股 審也

・不変擬準同型の理論とシンプレクティック幾何への応用

木村 満晃

・Textile structures and links in the thickened torus

吉田 建一

・Arithmetic structures behind the spectrum of quantum interaction models

Cid Reyes-Bustos

ポスターセッション2

16:20

フラッシュトーク2

16:50

コアタイム発表者

・Geometric data setの幾何学

横田 滋亮

・有限グラフのマイナー操作にともなう最適スペクトル埋め込みの変化

五明 工

・点のない新しい幾何学 -非可換幾何学への誘い-

松本 圭峰

・An Application of Homology Theory to Medical Image Analysis

徳田 智紀

・リザバー状態のマハラノビス距離を用いた時系列情報処理

田村 浩人、藤原 寛太郎、合原 一幸、田中 剛平

・グルコース/インスリンダイナミクスを記述する 9-コンパートメント体循環 数理モデルのパラメータ推定と解析

Junyong Eom

・エントロピー正則化を活用した最適制御と最適輸送のつながり

伊藤 海斗

・ビッグデータのランドスケープ解析:生命科学から気象学まで

井元 佑介


3月12日

10:00

事務局案内

ポスターセッション3

10:05

フラッシュトーク3

10:35

コアタイム発表者

・超早期治療における高次元データ駆動型ネットワークシステムの再安定化理論

瀋 迅

・神経回路ネットワークにおける損傷回復の数理モデリング

住 拓磨

・アンサンブルデータ同化と雨量計観測を用いた降水場推定

塩尻 大也

・形状汎関数を用いた「かたち」と「うごき」の研究

Lorenzo Cavallina

・区間表現による最小近似とバイパスパーシステンス図

青木 利隆

・ロボットの制御器切り替えの検査手法

大西 祐輝

・ストリング・ダイアグラムによるcompositionalな確率的モデル検査

渡邉 知樹

・建築構造設計における可積分離散正則函数の活用事例紹介

軸丸 芳揮

12:15

閉会挨拶 坂上 貴之(京都大学 教授)

主要参加プロジェクト(敬称略)

  • CREST「数学・数理科学と情報科学の連携・融合による情報活用基盤の創出と社会課題解決に向けた展開」研究領域

    CREST

    研究総括: 上田 修功(NTTコミュニケーション科学基礎研究所・フェロー/理化学研究所革新知能統合研究センター副センター長)

     様々な科学分野や産業界で生み出されている膨大なデータを活用し新たな科学的・社会的・ 経済的価値を創出していく上で、数学・数理科学と情報科学とが連携・融合した新たな概念や アプローチの創出が不可欠となっています。メカニズムをモデル化する数理モデル型アプロー チとビッグデータを活用するデータ駆動型アプローチとがそれぞれの強みを相補的に活かした 革新的な情報活用手法の創出を通じて、実社会における情報活用の加速・高度化が期待されて います。本研究領域では、AIやビッグデータ解析などのデータ駆動型のアプローチだけでは困 難な実社会の問題解決や付加価値創造に対して、数理科学と情報科学の連携・融合による新た な基盤技術の創出を目指します。具体的には、以下の研究開発に取り組みます。
     (1)数学の発想を取り入れた新たな情報活用手法の創出に資する理論及び技術の構築
     (2)数学・数理科学と情報科学を繋ぐ新たなサイエンスの創出
     (3)様々な分野や産業界における情報の活用を加速・高度化するデータ解析アルゴリズムやソフトウェア等の次世代アプリケーション基盤技術の創出
     上記によりインパクトある社会課題の解決につなげることを目指します。

  • さきがけ「数学と情報科学で解き明かす多様な対象の数理構造と活用」研究領域

    さきがけ

    研究総括: 坂上 貴之(京都大学 大学院理学研究科・教授)

     次世代の社会では抽象的な概念や論理構造、曖昧な知覚や経験などが、広義の情報として科学 的・社会的・経済的な価値を有するようになると言われています。こうした社会の実現に向けて、 数学・数理科学と情報科学が連携・融合し、様々な科学技術分野や産業界における諸課題および 膨大なデータなどから、新しい数学的概念や数理構造を抽出し、それを情報化して利活用するア プローチが不可欠となっています。また、プロセスの記述による演繹的アプローチと大量データ の利用による帰納的アプローチの双方の数理モデリング手法を高度に発展させ、また相補的に活 用する数理的手法の創出を通じて、実社会における情報利活用の高度化・加速も期待されています。 本研究領域では、様々な対象に潜む数理構造や数学的概念を新たな「情報」として抽出し、それ を次世代の社会の価値として利活用することで、私たちの認知能力を拡大し、次世代の社会や科 学技術・産業の形成につなげるような情報活用基盤の創出を目指します。特に、数学・数理科学、 情報科学の各分野の強みを活かしながら、領域として両分野の独立した研究者が連携・相補的に 融合することにより、この目標達成を見据えた革新的な数理構造や数学的概念の提唱、その理論 の構築、および、その情報化手法の研究・開発を推進します。

  • ACT-X「数理・情報のフロンティア」研究領域

    ACT-X

    研究総括: 河原林 健一(情報・システム研究機構 国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 教授)

     様々な科学分野や産業界で生み出されている膨大なデータを活用し新たな科学的・社会的・経済的価値を創出していく上で、数学・数理科学と情報科学とが連携・融合した新たな概念やアプローチの創出が不可欠となっています。メカニズムを抽出する数理モデル型アプローチとデータ駆動型アプローチとがそれぞれの強みを相補的に生かした革新的な情報活用手法の創出を通じて、実社会における情報活用の加速・高度化が期待されています。本研究領域では、情報科学および数理科学、そしてその二つの分野を融合・応用した研究開発によって未来を切り拓く若手研究者を支援するとともに、新しい価値の創造につながる研究開発を推進します。具体的には、従来の情報科学の研究課題のみならず、情報科学と数理科学の双方の知見を活かしたデータ活用手法、例えばデータ同化、トポロジカルデータ解析、圧縮センシング、差分プライバシー等を含む、情報科学および数理科学に関わる幅広い専門分野、および情報科学、数理科学の他分野への応用において、新しい発想に基づいた挑戦的な研究構想を求めます。

  • ERATO「メタ数理システムデザイン」研究領域

    ERATO

    研究総括: 蓮尾 一郎(情報・システム研究機構 国立情報学研究所・准教授)

     今日の製造業においては、高度な情報処理技術を用いた自動化とソフトウェア支援により、設 計から生産に至る工程の様相を根本的に変える取り組みが進んでいます。この背景のもと、本プ ロジェクトでは従来のものづくり技術にソフトウェア科学の成果を導入し、仕様策定から設計、 実装、保守まで工業製品開発のさまざまな側面を支援するソフトウェア・ツールの構築を目指し ています。具体的には、「形式手法」というソフトウェア科学における数学を基盤としたシステ ム設計の技法を取り込むことにより、製品の品質保証や効率化へのソフトウェア支援を大きく推 進します。工業製品の開発に形式手法を適用するには、物理系の連続ダイナミクスや確率・時間 などの連続的要素を包含するように形式手法を拡張することが必要です。この理論的困難に対す る独自のアプローチとして、形式手法の拡張の過程そのものを数学的に解析し、高次(メタレベ ル)の理論を構築することで、形式手法の諸技法を一挙に拡張することを目指しています。

  • ムーンショット目標2

    ムーンショット目標

    ●複雑臓器制御系の数理的包括理解と超早期精密医療への挑戦

    プロジェクトマネージャー: 合原 一幸(東京大学 特別教授/名誉教授)

     数理データ解析や数理モデル解析などの数学的研究を、臓器間相互作用と制御に関する実験研究と統合する研究を実施します。特に、健康状態から疾病状態へ状態遷移する前の未病状態を数学的に定義し、未病の早期発見とネットワーク制御理論による超早期治療方法を提案します。それにより、2050 年には、臓器間ネットワークを複雑臓器制御系として包括的に理解し、その知見を超早期精密医療へ応用することで、疾患の超早期予防システムが整備された社会の実現を目指します。


    ●恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服

    プロジェクトマネージャー: 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科 教授)

     まず、個体レベルでの恒常性、特に、糖代謝における制御メカニズムの機序を明らかとします。なかでも、代謝・循環の調節に重要である自律神経を介した臓器間ネットワークの機序を包括的に検討し AI・数理モデル解析などを活用して、その全貌の解明を目指します。このメカニズムの変調により生じる糖尿病やその併発疾患について、未病期段階の状態をより精密に解き明かします。そのうえで、これらを活用し、未病段階の検出法、および、人為的に制御する手法の開発につなげます。それにより、2050 年には、糖尿病および併発疾患について、未病段階で見出し、未然に防ぐ社会の実現を目指します。

  • ムーンショット目標8

    ムーンショット目標

    ●気象制御のための制御容易性・被害低減効果の定量化

    プロジェクトマネージャー: 小槻 峻司(千葉大学 国際高等研究基幹/環境リモートセンシング研究センター 教授)

    気象制御を実現するためには、意思決定のボトルネックである「制御効果最大化」の議論を可能とする必要があります。その議論に不可欠な「気象制御にかかるコスト」と「気象制御による被害低減効果」の比較検討を行うため、本プロジェクトでは下記の技術開発を行います。
     1. 気象制御容易性の定量化
      過去の災害事例に対し「少しの操作で災害を回避できる、災害/非災害の分水嶺が存在するか?」を機械学習により明らかにします。
     2. 気象制御による被害低減効果の定量化
      制御・非制御シナリオの被害金額・影響人口を日本全域で算出することを目指します。

  • 未来社会創造事業 未来医療を創出する4次元トポロジカルデータ解析数理共通基盤の開発

    研究開発代表者: 坂上 貴之(京都大学 大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 教授)

     高齢化が進む世界の国々では、高い医療の質を確保しながら高騰する医療コストを大幅に低減することが求められています。そのためには、様々なデータを活用した効率的な診断や創薬が求められますが、現状の検査データや臨床データから得られる情報の活用には限界があります。例えば循環器医療では心血流に現れる渦の「かたち」を見ることが診断の精度や効率の向上につながると期待されますが、現状の心エコーやMRI装置の心血流画像データからそのような情報を取得することは困難です。また、感染症創薬における臨床試験では、ウイルス量など病態進行に伴うバイオマーカーの時間変化を適確に予測できれば、臨床試験の期間の圧縮とコストの削減が期待できますが、データ量や解析法の限界によりまだ実現していません。
     本研究開発課題では、探索研究において実施した、①心血流エコー画像やMRI画像から血流渦パターンの「かたち」を言語化する解析手法(トポロジカルデータ解析)の開発と臨床診断への応用および、②薬剤開発の時間変化の予測手法(数理モデリング)の開発と抗ウイルス薬の臨床治験デザインへの応用を実証した2つの成果を元に、数理科学の両手法を融合した新たな手法を開発します。

  • 科学研究費助成事業

    数学に関連した下記プロジェクトに参加している若手研究者による講演、ポスター発表を予定しています。
     ・基盤研究(S)/研究代表者:桑江 一洋(福岡大学))
     ・基盤研究(S)/研究代表者:高橋 篤史(大阪大学)
     ・基盤研究(S)/研究代表者:石毛 和弘(東京大学)
     ・基盤研究(S)/研究代表者:佐伯 修(九州大学)
     ・学術変革領域研究(A)/研究代表者:平岡 裕章(京都大学)