現代社会の様々な分野に現れる「組合せ最適化問題」。いまのスーパーコンピュータでは、複数の組合せの中から総当たり方式で解を探すため、組合せが膨大になると時間がかかりすぎすべての組わせを処置できない。そこで厳密解を諦めて近似解を出している。本プログラムでは、この組合せ最適化問題に特化した新型のコヒーレント・コンピュータ(イジングマシン)を開発する。夢のコンピュータは、量子ネットワークでつながれた量子人工脳として機能する。
量子コンピュータや量子アニーリングマシンが大規模化できないのは、量子情報が局所スピンに格納されているため、その相互接続に限界があるからである。この点、量子コンピュータや量子アニーリングマシンは、メモリ、プロセッサー、コントロールユニットが空間的に分離されている現代コンピュータと同じアーキテクチャーを持っている。全ての量子情報を計算機全体に広がった波動関数に載せることにより、この接続(通信ボトルネック)の問題は解決できるはずである。このような思想に基づいて実現されるコヒーレントイジングマシン、XYマシン、ハイゼンベルグマシン、ユニタリ暗号マシンを、現代のコンピュータの一部(アクセレレータ)として接続したものが、本プロジェクトで開発しようとする量子人工脳である。

現代コンピュータが不得意なタスクである、組合せ最適化問題・機械学習はイジングマシンに、脳シミュレーションはXYマシンに、量子シミュレーションはハイゼンベルグマシンに、秘匿計算はユニタリ暗号マシンに、それぞれ分担させる新しい外部ユーザー向けサービスを実現し、社会に提供する。

山本 喜久PMの実施体制の詳細は公式HPをご覧ください。