研究テーマ「爬虫類における左右軸決定機構」
生物の体は一見すると左右対称ですが、よくよく考えてみると、左右非対称であることに気付きます。例えば、人間の身体であれば心臓は左側にあり、肝臓は右側にあります。つまり、生物は自身の身体の右と左を区別しているのです。では、この区別はどのようなメカニズムでなされるのでしょうか?
脊椎動物にはマウス型とニワトリ型の2つのタイプのメカニズムがあると考えられています。私は、この2つのタイプの違いが進化の過程でどのように生じたのかに興味を持ちました。そこで、哺乳類であるマウスと鳥類であるニワトリと系統的に類縁で、今まで研究されてこなかった、爬虫類の左右を区別するメカニズムを調べ、その結果、爬虫類はニワトリ型であることが分かりました。
そして、この研究を日本学生科学賞に出品したところ、科学技術政策担当大臣賞に選出されました。私自身が興味を持った事柄について研究出来たのは、大阪大学SEEDSプログラムの受講者として、グローバルサイエンスキャンパス(GSC)に参加したからに他なりません。
SEEDS事務局の皆さんには、スライド・ポスター等の発表資料に関するアドバイスをはじめとして、多岐にわたって支援して頂きました。中でも特筆すべきは、研究の場を大阪大学ではなく、より研究を行いやすい理化学研究所多細胞システム形成研究センター(CDB)に設けるため、様々な交渉や手続きを行って下さったことです。SEEDSの皆さんには感謝してもしきれません。
これからは、いま私が興味を持っている生物学だけではなく、サイエンスの他の分野についても理解を深めたいと考えています。
(平成30年度版GSCパンフレットより)
研究発表のポスターの前で
爬虫類の有精卵から胚を取り出す様子
(提供:理化学研究所)