ナノスケール・サーマルマネージメント基盤技術の創出

戦略目標

「ナノスケール熱動態の理解と制御技術による革新的材料・デバイス技術の開発」

研究総括

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粟野 祐二 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
副研究総括

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丸山 茂夫(東京大学 大学院工学系研究科 教授)

概要

 本研究領域は、熱に関する様々な課題の解決や熱エネルギー有効利用に向けて、熱の根源的な理解と高度に制御・利用するための基盤技術の創出を目指します。
 具体的には、3つの大きな方針に基づいて研究を推進します。
 1つ目の方針は、ナノスケールの熱の振る舞いを理解し、革新的な熱制御基盤技術の構築に取り組み、高効率な放熱・断熱・蓄熱・変換などを可能とする新材料の創製や、従来の特性や機能を飛躍的に向上させる新たなデバイスの創出を目指します。
 2つ目の方針は、上記熱制御基盤技術の創出のために重要な理論、計測、シミュレーション、加工技術などの研究を推進し、ナノスケールにおける熱の物理現象の予測・検証を可能とし、新たな材料設計、デバイス設計の指針に繋がる技術の構築を目指します。
 3つ目の方針は、この領域はナノスケールの熱の理解を基本として様々な熱の課題を対象とすることから、方針1、2に示すとおり、様々な階層と広範な分野に関わる学問・技術分野の融合を積極的に推進します。
 この領域は、ナノスケールの熱制御基盤技術の創出により、熱を味方につけ、新たな段階の高効率利用法を生みだすことで、高度情報化社会の実現や環境負荷の少ないエレクトロニクスや交通輸送・住宅など社会インフラの実現、健康医療分野での新産業・新市場創成を実現し新たな段階の高度熱利用社会の実現を目指します。

平成29年度募集・選考・研究領域運営にあたっての研究総括の方針

1. 背景と基本方針
 高度情報化社会の実現に向けた技術革新が進む中、微細化された高密度メモリや高速情報処理・通信用、パワーエレクトロニクス用電子デバイスや、それらを用いた機器・システムで高性能化の障壁として発熱問題が顕在化し、その解決のために高度な熱制御技術の構築が期待されています。また、工場、自動車、住宅等において、未利用のまま排出されている熱エネルギーが大量に存在しており、こうした熱エネルギーの有効活用が省エネルギー社会の実現には不可欠と考えられます。
 本研究領域では、このような社会への貢献を将来に見据え、熱を高効率に輸送、変換、または高度に利用するための熱制御基盤技術の構築に取り組みます。このことを実現するには、従来になかった新しい概念、発想に基づいた熱制御技術の創出が求められます。半導体内の電子状態は、ナノ加工技術や原子層制御のヘテロ接合結晶成長技術に基づく「バンドエンジニアリング」によって精緻に制御され、その結果、多くの革新的電子デバイス・光デバイスを生み、エレクトロニクスの一大分野としての成功に貢献してきました。一方、熱においては、例えば半導体中では今まで人類が積極的には利用してこなかった結晶の格子振動、いわゆるフォノンを我々の手で設計・制御する「フォノンエンジニアリング」を行うことになります。現在はまだ萌芽的段階にあるこうした新しい原理や物質、デバイス等のポテンシャルを最大限に引き出し、もしくは高度化することが必要となります。この考え方を具体的に実行に移すべく、本研究領域では幅広い研究分野からの提案を期待しています。以下に、研究提案や研究領域運営にあたってご留意いただきたい点を記載します。

 

2.対象とする研究分野や研究アプローチ
 「放熱」「熱輸送」「熱発生」「断熱」「蓄熱」「熱変換」「輻射」等の熱制御技術において、現在取り組まれている最先端の研究に新たな着想や視点を加えて新たな熱制御技術を創出しようとする、斬新かつ挑戦的な提案を積極的に募集します。また、これまでの熱制御・熱利用技術に関する研究についても、提案を妨げるものではありませんが、ナノスケール(ミクロスケール)の熱の振る舞いの理解とその制御に立脚したものであることが前提となります。すなわち、いずれの場合においても、提案技術の独創性・優位性がどこにあるかを明確に示すこと、また熱制御技術としての具体的に期待できる応用展開を採択の条件とします。
 また、原理実証にとどまらず、その実用化に向けた検討を常に行い、その道筋を付けることが求められます。そのため提案チームに企業が含まれることは、必須ではありませんが推奨されます。特に、計測技術や材料設計の指針・理論(計算科学を含む)、デバイスシミュレーション技術など、早期実用化が見込まれる分野では企業連携が推奨されます。提案チームに企業が含まれていない場合には、研究期間中に企業の参加を求める場合もあります。
 本研究領域で研究開発の対象とする提案は、例えば下記のような分野に属する提案が考えられます。もちろん、これらはあくまでも例にすぎません。
 ① ナノスケールでの熱現象の基礎的理解(局所的な熱発生、局所的な温度変化、材料物性の変化、界面の影響、微小化に伴う熱伝導率の低下、フォノン伝導、電子・スピンなどへの影響等)と熱制御技術
 ② ミクロからマクロを包括するマルチスケールの熱輸送シミュレーション技術
 ③ 熱伝導を大幅に抑制・促進する革新的材料の設計・理論の構築およびその合成・加工技術
 ④ 従来技術を上回る空間・時間分解能を有するナノスケール熱計測技術
 ⑤ 熱の制御・利活用を実現する新規デバイス・システムの開発(例えば、新不揮発メモリ素子、熱ダイオード、低消費電力センサ、低消費電力発光素子等)
 ⑥ 熱の制御・利活用のためのナノスケール熱物性データベースの構築とそれに基づく新材料設計あるいは新計測技術への指針の探究

 

 計測技術に関する研究のみからなるチームでの応募も受け付けます。ただし、測定対象については、チーム間連携や研究総括のコーディネートによるプロジェクト内外チームとの連携を行い、測定技術の実績作りを行って頂きます。さらに計測法の特許化や国際標準化提案を念頭において進めます。
 理論・シミュレーションに関するチームには、手法の開発や実験結果の解釈にとどまらず、その手法を用いることで新規な材料やデバイス作製に関する実験テーマ提案型の研究が望まれます。CREST実施中に提案されたテーマは、研究総括の判断・コーディネートによる実験チームとの連携研究を行い、理論・シミュレーションチームと実験チーム間の相互連携を促進します。CREST実施中に生じた新規の連携テーマについては、必要に応じて追加の予算措置も考慮します。計算科学では、電子やフォノンなどの量子状態計算のみならず、材料合成や加工技術に関わる反応過程解析などの取り組みも歓迎します。また京コンピュータ、ナノテクノロジープラットフォーム、TIAなど、大型共用施設の利用も積極的に推進します。
 また、平成29年度に、同じ戦略目標の下に実施するさきがけ研究領域「熱輸送のスペクトル学的理解と機能的制御」を始めとする、研究領域内外の研究者との連携推進を図り、必要に応じて、領域会議やワークショップ等の開催を共同で行います。また、関連する学協会・研究機関等との連携を促進するとともに、国際的にも成果をオープンにすることを目的とし、国際シンポジウムの開催なども想定しています。

 

3.研究期間と研究費
 本研究領域の期間は、平成29年度から平成36年度まで(予定)です。
 研究期間は、平成29年度から平成34年度(5.5年度)以内とします。また研究費については、2.5億円以内とします。

 

4.研究提案書作成時の注意点
ナノスケールでの熱現象の基礎的理解に関する提案を含めた全ての提案で、研究の将来展望に関しての応用展開や企業連携のイメージを記載してください。

領域アドバイザー

小原 春彦 産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域研究戦略部 研究戦略部長
喜々津 哲 (株)東芝 研究開発センター スピンデバイスラボラトリー 研究主幹
徐 一斌 物質・材料研究機構 統合型材料開発・情報基盤部門 統合型物質・材料研究拠点
データプラットフォーム プラットフォーム長
常行 真司 東京大学 大学院理学系研究科 教授
鶴田 隆治 九州工業大学 理事・副学長
花村 克悟 東京工業大学 工学院 教授
平山 祥郎 東北大学 大学院理学研究科 教授
藤田 博之 東京大学 生産技術研究所 マイクロナノ学際研究センター 教授
森 孝雄 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究者
山内 崇史 (株)豊田中央研究所 主任研究員
山根 常幸 (株)東レリサーチセンター 技術開発企画部 理事・部長

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