マルチスケール・マルチフィジックス現象の統合シミュレーション

研究領域HP

戦略目標

次世代高精度・高分解能シミュレーション技術の開発」(PDF:21KB)

研究総括

矢川 元基(東洋大学 計算力学研究センター センター長・教授)

概要

 本研究領域は、世界最先端レベルの超高速・大容量計算機環境と精緻なモデル化・統合化によって、複数の現象が相互に影響しあうようなマルチスケール・マルチフィジックス現象の高精度且つ高分解能の解を求めることを研究の対象とします。

具体的には、地球環境変動、異常気象、およびそれに起因する災害予測、人工物の安全性・健全性の評価、複雑な工業製品の設計・試作、ナノレベルの材料挙 動、生体内たんぱく質構造と生体内薬物動態など、支配因子が未知あるいは不確定性を含む現象やスケールが極度に異なる現象等のモデル化の研究、そのような モデルの統合数値解析手法の研究、モデルや入力データの妥当性・結果の信頼性の評価方法の研究などが含まれます。

平成19年度採択分

大規模系への超高精度O(N)演算法とナノ・バイオ材料設計

研究代表者(所属)
青木 百合子 (九州大学大学院総合理工学研究院エネルギー物質科学部門 教授)
概要
理論計算によるミクロな視点からの材料設計を実現するため、大規模系に対する電子相関効果を含めた超高精度電子状態計算法を開発し、ナノ~マイクロサイズに対する物理量を様々な外場のもとで高速演算を実行するための基礎方法論とプログラムを構築します。一方、大規模PCクラスタ上での動作環境を整備し、次世代スーパーコンピュータに実装可能なものとすることで、次世代機能性材料の分子設計統合システムの確立を目指します。

高精度多体多階層物質シミュレーション

研究代表者(所属)
今田 正俊 (東京大学大学院工学系研究科 教授)
概要
密度汎関数法と強相関電子理論に立脚し、電子間クーロン相互作用を精緻に取り扱って、第一原理による高精 度物質シミュレーション法を革新します。運動エネルギーと相互作用の競合が生み出すマルチエネルギースケールの階層構造と多様物性の解明を進め、半導体エ レクトロニクスを基礎付けた「一体近似」手法に代わって、多体電子相関の生む「巨視量子的集団挙動」や「巨大応答」を扱う量子シミュレーション技術を確立 します。

惑星間航行システム開発に向けたマルチスケール粒子シミュレーション

研究代表者(所属)
臼井 英之 (神戸大学大学院システム情報学研究科 教授)
概要
新しい惑星間宇宙航行システムである磁気プラズマセイルの基本原理や推力性能の評価には、太陽風プラズ マ、小規模人工磁気圏、衛星、局所的プラズマ噴射というマルチスケールな事象の相互作用をプラズマ運動論効果を含めて再現する必要があります。このため、 本研究では、数値流体で用いられる局所細分化適合格子法(AMR)とプラズマ粒子法(PIC)を融合させ新しいマルチスケール粒子シミュレーション手法の 基盤を確立します。

バイオ分子間相互作用形態の階層的モデリング

研究代表者(所属)
北尾 彰朗  (東京大学分子細胞生物学研究所 准教授)
概要
バイオ分子複合体立体構造を予測して作用機構を解明するための統合シミュレーションシステムを構築しま す。粗視化モデルから高精度モデルへ移行していく新しい階層的シミュレーション技法の開発を行い、粗視化レベルで発生させる大量の複合体立体構造の候補か ら可能性の高い候補を絞り込んで少数候補を高精度に評価することで、蛋白質と低分子化合物、蛋白質と蛋白質の分子間相互作用形態モデリングを効果的・高精度に実現します。

超精密予測と巨大分子設計を実現する革新的量子化学と計算科学基盤技術の構築

研究代表者(所属)
中辻 博  (特定非営利活動法人 量子化学研究協会 理事長)
概要
化学・生物学・物性物理学など物質科学の世界は、シュレーディンガー方程式などの量子的科学原理によって 支配されています。代表者は80年来不可能とされてきたこの方程式の正確な解法を発見しました。本課題では、この方法をさらに発展させ、物質科学の現象を 正しく予測、解明する革新的量子化学と計算科学技術を構築します。又、SAC/SAC-CI法を拡張し、巨大系の光・分子設計を可能にする汎用性の高い基 盤技術を確立します。

原子力発電プラントの地震耐力予測シミュレーション

研究代表者(所属)
吉村 忍 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)
概要
地球温暖化やエネルギーセキュリティーの観点から原子力エネルギーへの期待が高まる中、我が国の経年化原 子力プラントの巨大地震に対する安全性の確認は焦眉の課題となっています。本研究では、稼働中ないしスクラム直後の過渡状態にある原子力プラントの機能限 界をマルチスケール・マルチフィジックス統合シミュレーションにより定量的に見極める耐力シミュレータを研究開発し、原子力プラントの真の地震耐力の定量的予測を目指します。

平成18年度採択分

凝集反応系マルチスケールシミュレーションの研究開発―大規模原子情報の疎視化・再構成技法・疎視的理論の開発―

研究代表者(所属)
長岡 正隆 (名古屋大学大学院 情報科学研究科 教授)
概要
溶液、表面、生体高分子の非経験的分子動力学(MD)シミュレーションで得た原子情報を疎視化・再構成す る凝集反応系マルチスケールシミュレーションを実現します。具体的には、1)疎視化技法と疎視化発展方程式、2)最大エントロピー原理による非定常状態の 再構成技法、3)分子軌道法とMD法とを繋ぐQM/MMインターフェースを研究開発し、最終的には個別事例に適用して、凝集反応系マルチスケールシミュ レーション実用化基盤を確立します。

海洋循環のスケール間相互作用と大規模変動

研究代表者(所属)
羽角 博康 (東京大学 大気海洋研究所 准教授)
概要
海洋の中・深層水の形成・変質・輸送過程に関して、微小プロセスから全球大循環までの様々なスケールごと のシミュレーションとそれらの相互作用のシミュレーションを行い、中・深層循環をコントロールする物理的メカニズムを明らかにします。その理解に基づき、 様々な気候変動がもたらす海洋の大規模変動や、それが沿岸海況等の局所的現象に及ぼす影響を評価するための、効果的かつ効率的なモデリング手法を確立します。

超伝導新奇応用のためのマルチスケール・マルチフィジックスシミュレーションの基盤構築

研究代表者(所属)
町田 昌彦 ((独)日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター 研究主幹)
概要
本研究課題では未だ謎に満ち、人類が知りうる物質の最も劇的な状態である超伝導(超流動)発現機構に対 し、超並列計算機を用いて、従来にない超大規模シミュレーションを行い、その謎に新たなメスを入れます。また、量子デバイス、テラヘルツ・レーザー、高精 度放射線検出器などへの応用が可能な未開拓な超伝導状態に対しても、独自のマルチフィジックス・マルチスケール手法を開発し、既成研究の枠を超えたブレー クスルーを起こします。

DDSシミュレータの研究開発

研究代表者(所属)
三上 益弘 ((独)産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 主任研究員)
概要
本研究では、リポソームと糖鎖からなる能動的標的指向性DDSを対象にしたマルチスケールシミュレーショ ン技術を開発します。フラグメント分子軌道法・分子シミュレーション・流体力学に基づいた本方法は、DDSの開発で重要な(1)DDSナノ粒子設計、 (2)レクチンと糖鎖との分子間相互作用解析、(3)血管内におけるDDSナノ粒子の流動解析を可能にします。また、これらのシミュレーション技術を統合 してDDSシミュレータを開発し、DDS設計の基盤を提供します。

複雑分子系の複合分子理論シミュレーション

研究代表者(所属)
諸熊 奎治 (京都大学 福井謙一記念研究センター リサーチリーダー)
概要
本研究では、既に代表・共同研究者たちによって開発された多層ハイブリッド理論(ONIOM法)、 RISM-SCF理論、その他の複合分子理論をさらに大きく発展させ、これらの方法を用いてナノシステム、生命分子系、並びに溶液系など複雑分子系の構 造、反応、ダイナミックスなどのシミュレーションを行うことが可能であることを示すとともに、これらの分野でのいくつかの重要な問題の理論的解明を目指します。

海洋生態系将来予測のための海洋環境シミュレーション研究

研究代表者(所属)
山中 康裕 (北海道大学大学院 地球環境科学研究院 准教授)
概要
地球温暖化や海洋酸性化による海洋生態系や水産資源への影響などの将来予測のために、海洋環境シミュレー ション研究を行います。人間活動に伴い放出されたCO2は、大気中CO2濃度を上昇させ地球温暖化を引き起こすとともに、海洋によって吸収され海洋酸性化 を引き起こし、海洋生態系などに影響を与えると予想されています。その基盤技術となる海洋科学の各分野でのモデルを統合した海洋環境シミュレーション技術 を開発します。

ソフトマターの多階層/相互接続シミュレーション

研究代表者(所属)
山本 量一 (京都大学 大学院工学研究科 教授)
概要
高分子や固体粒子を含んだ複雑な物質(ソフトマター)は機能性材料として重要でありますが、性質を理論的 に予測することは大変困難です。この問題を解決するために、ミクロ階層(原子・分子)・メソ階層(濃度分布や界面など)・マクロ階層(材料の形や製造プロ セスなど)が物理的に矛盾なく相互に影響し合う画期的な多階層/相互接続シミュレーション手法を確立し、全く新しい包括的材料・プロセス設計ソフトウエア の開発を行います。

平成17年度採択分

ナノ・メゾ・マイクロの複雑固液界面の大規模数値解析

研究代表者(所属)
尾形 修司 (名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授)
概要
排気ガス触媒コンバーターやMEMS 等に見られる、複雑(多孔質、微細加工、応力集中、超薄膜を含む)固体と液体/ 気体との間の、ナノメートルからマイクロメートルを超える規模のワイドレンジな動的界面現象や輸送現象への直接的応用を目指し、電子状態計算から流体計算( 粗視化を含む) までの様々な計算手法を適切に組み合わせたハイブリッドコードのセットを開発した。また、大規模グリッド計算環境での長時間連続運用にむけた世界最大規模の実験を行った。

計算量子科学によるナノアーキテクチャ構築

研究代表者(所属)
押山 淳(東京大学大学院 工学系研究科 教授)
概要
本研究課題においては、密度汎関数理論に基づく、実空間電子状態計算手法の開発を、計算物質科学のグループとコンピュータサイエンスのグループとの密な共同によって遂行し、研究課題スタート時の量子論的シミュレーション手法を格段に改善し、1万〜2万原子群のナノ・バイオ物質に対する量子論的シミュレーション技法を確立しました。それにより、シリコンナノドット、ナノワイヤー、炭素ナノ物質などをふくむ、多くのナノ構造に対して、量子論の第一原理に立脚した、物性・機能の解明と予測を行いました。

全球雲解像大気モデルの熱帯気象予測への実利用化に関する研究

研究代表者(所属)
佐藤 正樹 ((独)海洋研究開発機構 地球環境変動領域 チームリーダー)
概要

地球シミュレータの性能を十分に生かすことにより、地球全体の大気を3.5km の水平メッシュで解像する「全

球雲解像モデル」による計算が可能になりました。これにより、従来の気象予測の精度向上のための障害となっていた熱帯域の水平スケール数km の雲降水システムを容易に計算できるようになりました。本研究では、全球雲解像モデルを用いてマッデンジュリアン振動や熱帯低気圧などの熱帯の雲降水系のマルチスケール構造を現実的に再現することに成功しました。今後、全球雲解像モデルは、実際の気象予測や気候予測に重要な役割を果たしていくことが期待できます。

QM(MRSCI+DFT)/MM 法による生体電子伝達メカニズムの理論的研究

研究代表者(所属)
高田 俊和 ((独)理化学研究所 次世代計算科学研究開発プログラム コーディネーター)
概要
光合成反応中心の電荷分離過程を解明するため、新規QM/MM 理論及び計算プログラムを開発して、電荷分離に関与している全色素分子(クロロフィル他6分子)系の一括配置間相互作用計算を行った。その結果、カスケード的に僅かずつエネルギーを使いながら、色素分子間を電子が伝播していく様子が再現された。本計算は、配置間相互作用計算としては、世界最大規模である。また、光触媒との比較から、化学物質に直接太陽エネルギーを貯蔵する人工光合成デバイス開発に向けての手がかりを得た。
(研究期間は平成17 年10 月〜平成21 年3 月)

災害予測シミュレーションの高度化

研究代表者(所属)
高橋 桂子 ((独)海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター プログラムディレクター)
概要

台風や集中豪雨などの災害を精度よく予測するために、地球シミュレータ上で超大規模かつ超高速な、全球か

ら都市までを総合的に扱えるシミュレーションコードを開発した。予測精度を向上するために、実験室における実験結果を基盤にした新たな高精度計算スキーム、乱流雲モデル、大気海洋相互作用モデルを開発し、それらが予測精度に大きな影響を与えることを明らかにした。

生体系の高精度計算に適した階層的量子化学計算システムの構築

研究代表者(所属)
天能 精一郎 (神戸大学大学院システム情報学研究科 教授)
概要

高精度分子軌道理論から出発して、量子力学的階層構造(QM/QM) と分子力学的階層構造(QM/MM) を併せ

持つ生体系のための計算手法をボトムアップ的に構築した。低スケーリングと新規波動関数研究に裏付けられた高精度で機動力あふれるシミュレーション技術と、それに伴う新規物性の開拓により、生体環境下の電子状態、動力学、物性検証までの分野横断的研究を可能とし、次世代の科学技術の基盤の提供を行った。

ナノバイオ系のシミュレーションとダイナミクス

研究代表者(所属)
平尾 公彦 ((独)理化学研究所基幹研究所 次世代分子理論特別研究ユニット 特別顧問)
概要
次世代スーパーコンピュータ「京」をはじめとする著しい計算性能の向上により、ナノバイオ系のシミュレーションによる機能解明や材料設計すら理論化学の対象になってきました。しかし、ナノバイオ系への本格的な展開には、理論や計算ソフトウェアの整備がまだ十分とはいえません。本研究では、ナノバイオ系への展開を念頭に置いた電子状態理論やダイナミクス理論から構成される次世代分子理論や、次世代スーパーコンピュータ上での運用のための高速分子計算ソフトウェアを開発しました。これらの理論と計算ソフトウェアにより、数千原子を超えるナノバイオ系の定量的な計算やシミュレーションが可能になり、理論的な生体機能解明やナノ材料設計に向けて大きく進展させることに成功しました。

観測・計算を融合した階層連結地震・津波災害予測システム

研究代表者(所属)
松浦 充宏 (統計数理研究所 予測発見戦略研究センター 特任教授)
概要
プレートの沈み込み帯に位置する我が国の地震・津波災害の軽減に資するために、プレート運動による地殻応力の蓄積を経て大地震が発生し、地震波が構造物を揺らし、津波が海岸部を襲うまでの一連の過程を再現・予測する観測・計算融合の階層連結型高精度シミュレーションシステムを世界に先駆けて開発した。

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