トップページ サイトマップ
はじめに 総論 研究実施報告書 関連データ 研究代表者索引

新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出
メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出
情報通信技術に革新をもたらす量子情報処理の実現に向けた技術基盤の構築
教育における課題を踏まえた、人の生涯に亘る学習メカニズムの脳科学等による解明
がんやウィルス感染症に対して有効な革新的医薬品開発の実現のための糖鎖機能の解明と利用技術の確立
個人の遺伝情報に基づく副作用のないテーラーメイド医療実現のためのゲノム情報活用基盤技術の確立
医療・情報産業における原子・分子レベルの現象に基づく精密製品設計・高度治療実現のための次世代統合シミュレーション技術の確立
情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製
非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製
環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製
遺伝子情報に基づくたんぱく質解析を通した技術革新
先進医療の実現を目指した先端的基盤技術の探索・創出
新しい原理による高速大容量情報処理技術の構築
水の循環予測及び利用システムの構築
技術革新による活力に満ちた高齢化社会の実現
大きな可能性を秘めた未知領域への挑戦
分子レベルの新機能発見を通じた技術革新
環境にやさしい社会の実現
資源循環・エネルギーミニマム型社会システムの構築
 

戦略目標
メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出

 
1.名称
メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出
2.具体的な達成目標
   独創的なメディア芸術を創造するためにメディア芸術制作者に先進的な表現手法等を提供するとともに広く国民全般が自己実現に生かすために容易にメディア芸術を制作し楽しむことを可能とするための先進的科学技術を創出する。
3.目標設定の背景及び社会経済上の要請
   心豊かな社会の実現のためには、経済のみならず文化芸術の振興が重要な課題であり、その創造を推進するための科学技術を推進していく必要がある。中でも、映画、アニメーション、CGアート※1、ゲームソフトなどコンピュータ等の電子機器等を駆使したメディア芸術は、芸術と科学技術研究との融合領域であり、メディア芸術作品の質を高めるためには、芸術的な感性と共に作品の創造に必要とされる科学技術の研究開発が必要である。これらのメディア芸術の創造を支援するためには、映像技術、画像処理技術、人工現実感技術、感性工学技術などの先進科学技術個別の研究開発だけではなく、総合的に研究開発する必要がある。また、国民全般がメディア芸術制作に親しむためには、容易に使いこなすことを可能とする技術に仕上げる必要がある。
 メディア芸術については、文化芸術としての重要性はもとより産業的にも重要となっており、現在、産業規模として11兆円、雇用創出は137万人であり、さらに6.5%と高い成長率が予測されている。また、広く我が国の魅力を伝え国としての文化的価値を高める観点からもその重要性が注目されている。
 平成13年末に公布された文化芸術振興基本法において、メディア芸術などの文化芸術活動を科学技術の活用も含めて、国を挙げて振興するための基本的な方向が示されている。本年2月科学技術・学術審議会資源調査分科会報告(「文化資源の保存、活用及び創造を支える科学技術の振興」)がまとめられ、メディア芸術創造のための新しい科学技術の研究開発を推進していくことが提言されている。
 また、メディア芸術を中心とするコンテンツ(情報内容)の知的財産としての価値及び日本文化の発信手段としての価値が着目され、首相直轄の知的財産戦略本部コンテンツビジネス専門調査会において、先端科学技術研究開発を含め、その総合的な推進のための方策に向けて審議が進められるとともに、産業界においても昨年11月日本経済団体連合会から「エンターテインメント・コンテンツ産業の振興に向けて」とする意見書が出され、その重要性が訴えられている。さらに、これらを背景に、今次国会において「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(仮称)」を制定すべく議員立法の準備が進められているが、同法案における基本的施策の大きな柱として、先端的な技術に関する研究開発の推進が掲げられようとしており、今後、国としての戦略的な対応が必要とされている。
4.目標設定の科学的裏付け
  映像作成のための画像処理技術に関しては、モーションキャプチャー※2を活用した即時映像合成などの制作の効率化に資するための研究や3次元デジタイザー(入力装置)データ分析に基づく「本物らしさ」の研究、3次元グラフィクス(映像・画像)で必要とされる高品質グラフィクス演算装置のためのアーキテクチャ(構成方式)、設計環境の研究が進みつつある。また、効率的にストレスなく高品質グラフィクス演算装置を利用するための研究も進みつつある。
  新しい感覚表現技術に関しては、人工現実感研究が進んでいる。視覚や聴覚以外の感覚(触覚、力覚、味覚等)も表現することを可能とする研究や、現実空間と人工空間を重畳させる複合現実感の研究、特定の場所において特定の情報を提示する領域展示研究などが進展しつつある。
  デジタル入力、編集、出力技術に関しては、3次元映像の撮影、編集のための研究や超高画質デジタル映像のための研究が進展しつつある。
  人間の感性に関する研究に関しては、生理学、脳科学などの基盤をもとに感性を科学的に解明し、快適性に関する知的基盤を構築するための研究基盤が整いつつあり、また、安全性の観点から新しい表現手法の人体に対する影響についての研究も進展しつつある。
  一方、これら各分野における研究開発は理工学系、医薬学系を中心に個別に進められてはいるが、それらの知見・技術を、文化系・芸術系研究者や制作者と協働してメディア芸術を支える基盤的技術として結実させ、文化的な価値を創造・普及する方向で研究開発を進めている事例は稀少である。そのため、既成の組織や従来の専門分野を越えて活躍する若手人材等の育成を図ることは重要である。
  このような現状に鑑みれば、各分野に芽生えつつある新技術の芽を総合的な研究開発事業としてメディア芸術創造の基盤技術として育成していくことは、実現可能であるとともに、その意義は大きいと考えられる。
5.重点研究期間
   平成16年度から平成18年度までの3年間にわたり、新規研究課題の募集を実施する。研究期間は1研究課題につき概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果を挙げている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)
 ※1 CGアート:コンピュータを利用し制作した映像芸術作品
 ※2 モーションキャプチャ:動作をデジタルデータに変換し、コンピュータに取り込むこと

閲覧したい項目を選びクリックしてください。
研究領域 研究総括
「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」
原島 博
(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授)

本研究領域は、情報科学技術の発展により急速な進歩を遂げたメディア芸術という新しい文化に係る作品の制作を支える先進的・革新的な表現手法、これを実現するための新しい基盤技術を創出する研究を対象とします。
具体的には、コンピュータ等の電子技術を駆使した映画、アニメーション、ゲームソフト、さらにはその基礎となるCGアート、ネットワークアート作品等の高品質化(多次元化も含む)を目的とした映像や画像の入力・処理・編集・表示技術、インターフェイス技術、ネットワーク技術等に関する研究を行います。視覚や聴覚以外の感覚の表現をも可能とする人工現実感技術、現実空間と人工空間を重畳させる複合現実感技術等も含みます。また、デジタルメディアとしての特徴を生かした斬新な表現手法の研究、快適性や安全性の観点から人間の感性を踏まえた表現手法の研究、物語性に優れた作品の制作を可能にする高度なコンテンツ制作手法の研究、誰もが自由にデジタルメディア作品の制作を効率的に行うことが出来るソフトウェア・ハードウェアに関する研究なども対象とします。

稲蔭 正彦 (慶應義塾大学環境情報学部 教授)
「ユビキタス・コンテンツ製作支援システムの研究」  (126kb)

廣瀬 通孝 (東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
「デジタルパブリックアートを創出する技術」  (260kb)

藤幡 正樹 (東京芸術大学美術学部 教授)
「デジタルメディアを基盤とした21世紀の芸術創造」  (84kb)

森島 繁生 (早稲田大学理工学部応用物理学科 教授)
「コンテンツ制作の高能率化のための要素技術研究」  (166kb)