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- 増原極微変換プロジェクト
総括責任者 増原 宏
(大阪大学 工学部 教授)
研究期間:1988年10月~1993年9月
化学反応は、極めて細かい時間スケールでみれば、いくつもの過渡的な段階の組み合わせであり、空間的にも界面層や液滴などの微小な反応場で起こっています。本プロジェクトでは、レーザー光パルスが化学反応のエネルギー源、制御手段として有効に活用し得る点に着目し、微小領域の化学反応をレーザーで制御しながら進めていく手法を探求しました。
研究では、種々の微細加工技術によるマイクロ反応場の創製法を提案し、そこで起こる化学反応をマイクロメートル・ピコ秒の分解能で計測する極微分光法を開発しました。さらに、微小領域の物質を自由自在に操るレーザーマイクロマニピュレーションの手法を確立しました。これらの手法を駆使する事により、微小領域に特有なマイクロ化学現象を明らかにすると共に、数多くの微小反応場を時間的、空間的に構成し高選択性、高効率の物質変換システムを構築する手掛かりを得ました。
レーザー爆触、選択的 CVD、光リソグラフィー、走査型電気化学顕微鏡、選択的光化学反応により、化学的な機能を持ったμm~nm の反応場を創製する事に成功した。
マイクロメートル・ピコ秒の分解能で化学反応を解析する三次元空間・時間分解蛍光および吸収分光法、過渡解析格子分光法を開発すると共に、角度分解全反射蛍光分光法を確立した。
単一微粒子の捕捉、固定だけでなく、複数の微粒子非接触的、非破壊的に自由自在に操り、配列、駆動、選別を行う走査型レーザーマイクロマニピュレーションの手法を開発・確立した。
マイクロ反応場における物質の拡散や界面層に特有な分子会合構造により、新しい化学現象が発現する事を見出した。
レーザーマニピュレーションが可能な単一微粒子のレーザー発振、単一ゲル微粒子の光制御、単一微粒子の蛍光、吸収、電気化学測定など単一微粒子に関する新しい研究分野を切り拓いた。
微小なマイクロ反応場を空間的に配置し、レーザーマニピュレーション法、極微分光法を駆使して化学反応を光、電気、反応サイト間で制御する新しい物質変換システムを構築する手掛りを得た。
▲A schematic diagram of Microphotoconversion system which is partially realized
▲Aligned polystyrene microparticles (diameter 1 µm) in ethylene glycohl
▲Laser oscillation of rhodamine B in a single, optically trapped poly(methyl methacrylate) microparticle in water