領域紹介

慢性炎症と病気

慢性の炎症を伴う病気

 慢性炎症を伴う病気にはさまざまな種類があり、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫性疾患が良く知られています。それらは、発症して直ぐに死に至るような病気ではありませんが、長期間にわたってつらい症状が継続します。また、時間がたつと、患部組織の障害や構造変化(変形)を伴い、しばしば患部組織が有する本来の機能に障害をきたすことが問題となります。

生活習慣病や老化にも慢性の炎症が関係する

 最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。加齢とともに増加するがん、動脈硬化、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきました。最初の内は症状として現れない慢性的な炎症性の変化が、種々の病気の要因となっている可能性があるということです。その慢性炎症状態に、「自然炎症」のメカニズムも重要な役割を演じていると考えられるようになってきています。

The 5 Cardinal Signs of Inflammation