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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

13超高速光波形ディジタイザの開発

企業名 株式会社トリマティス
研究者(研究機関名) 北山 研一(大阪大学 大学院工学研究科 教授) 他

1)独創モデル化の概要及び成果

 現在、光波形の信号処理は、光電変換の後、電子回路によりディジタル化されているが、電子デバイスのムーアの法則によるパフォーマンス向上は、原理的な速度限界に達しつつある。このような電子デバイスの速度制限を超えるため、光そのものの信号処理によりディジタル化処理を行う超高速光波形ディジタイザの開発を目的とし、重要な要素技術である超高速光増幅制御技術(高速AGC-EDFA)、超高速光サンプリング技術(テラHz級OTDM標本化器)、4ビット並列AD変換器の開発を行った。
 その結果、激変する入力信号に対してもゲインが高速に追随する光増幅制御技術の確立、高いリニアリティとテラHz級のサンプリングの両立、1ラインでの動作試験による4ビット分解能で160GS/s相当の高速ディジタル変換を実現した。すなわち、基本的に世界最高速の超高速光波形ディジタイザの動作原理を実証することができた。
 今後、ライン数を並列展開し、サンプリング速度640GS/sの動作確認を進めることにより、さらなる高速領域であるテラHzの信号処理の実現を目指す。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
当初設定された高度な目標の80%は達成している。高速化については予算等の制約から未達成であるが、技術的な検証はなされている。

(イ)知的財産権等の発生
特許出願はなかったが、既出願の特許に加えて、それに匹敵する価値のあるノウハウが蓄積されていると判断できる。新たな出願を行うことが望ましい。

(ウ)企業化開発の可能性
部分的な製品化は十分可能である。今後の情報化を支える計測技術として、さらに発展させた形で企業化を進めることも期待できる。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
今後の情報通信技術の重要な基盤として将来性は大きく、期待度は大きい。

3)評価のまとめ

 今後の社会の発展にとって必要となる技術が開発された。製品化に向けて企業人の力を活用し、意欲を持って事業展開を行うことを期待している。


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