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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

12ホームサイスモメータ及び次世代緊急地震速報システムの開発

企業名 株式会社エイツー
研究者(研究機関名) 堀内 茂木 (独立行政法人防災科学技術研究所 総括主任研究員) 他

1)独創モデル化の概要及び成果

 気象庁発表の緊急地震速報は、初期微動「P波」を観測し、被害をもたらす大きな揺れ「S波」が到達する前に警報を出すものであるが、震源に近い場所では緊急地震速報が間に合わないこと、震度推定の誤差が大きいという問題がある。
 この問題を解決するため、安価な地震計の機能を有する緊急地震速報受信機(HomeSeismo端末)および地震解析サーバーを開発し、インターネット回線あるいはフレッツ網を用い高密度で各地に設置された端末とリアルタイムに情報をやりとりできるシステムを構築した。HomeSeismo端末は、それ自身がP波を検知する事が出来るため、地震発生に対して気象庁の緊急地震速報と端末ネットワークの2ルートから情報を取得するため、より早く、より正確に地震の発生を知らせる事が出来る。
 全国に本HomeSeismo端末が設置される事によって、高密度の地震観測網が整備される事になり、精度の高い直下型地震の防災効果が期待できる。更には余震などの二次災害の軽減や、建物被害の想定、災害状況の把握が可能になり、耐震対策や震災発生後の救助復旧にも効果が期待される。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
所期の技術目標は、ほぼ達成されている。しかし、誤動作への対応、測定精度、ネットワーク系の遅延など、評価・検証が不十分な箇所も残されている。

(イ)知的財産権等の発生
平成19年10月と同11月に、計2件の関連特許を出願している。実測した地震波形のデータベース化など、ノウハウ情報も蓄積されている。

(ウ)企業化開発の可能性
現実環境での実験例が少なく、有用性の検証が不十分である。価格対有用性についての疑問は残るが、モノ(装置)としての企業化の見通しは得られている。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
地震対策という社会的意義は大きいが、モノとしての直接的な経済効果は小さい。インターネット技術との連携が、新しい地震対策の在りようを期待させる。

3)評価のまとめ

 2つの開発課題のうち、ホームサイスモ端末の目標性能は概ね達成されている。同端末とインターネットを用いた地震速報システムについては、試験的実装水準に止まっている。検証実験を積み重ね、実用性を高めるとともに、気象庁の地震速報システムとの協調関係を築く必要がある。


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