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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

14近赤外光による眼底偏光スペクトル画像撮像・診断装置の開発

企業名 株式会社インフォワード
研究者(研究機関名) 宗田 孝之(早稲田大学 理工学術院 教授)

1)独創モデル化の概要及び成果

 研究者等は、近赤外領域光が生体内への進達度が高く、眼底において網膜血管のみならず網膜深部に位置する脈絡膜血管をも近赤外光を用いて観察しうることを見出し、近赤外光分光による眼底血管診断方法の研究を進めてきた。
 モデル化では本基礎研究をベースとし実用装置としての観点から、新にイメージファイバ分光機構、高感度イメージング分光器および近赤外対応眼底カメラを開発し、これらを一体接続した新しい眼底診断装置を試作した。また、模擬眼底を用いた検討より、水平・垂直偏光条件下で視野角50度の広視野を10秒程度でスキャンし、700nm〜1000nmの近赤外領域における眼底反射率データが得られることを確認した。
 本成果は、現行の造影剤使用眼底診断と同レベルの診断を造影剤不使用かつ非侵襲で実現可能なことを示すものである。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
モデル化の目標は概ね達成されているが、実施データも不足しており、高画素化、照明力向上など課題も多く、実用のレベルには達していない。

(イ)知的財産権等の発生
検査装置や画像化処理など研究開発の成果から特許性のある技術は見いだされているが、出願の可能性はまだ見えていない。

(ウ)企業化開発の可能性
企業化に向けた実施データの蓄積が不十分であり、解決すべき課題も多い。企業化にむけての連携なども考慮されているが、技術的課題を解決しないと企業化は難しい。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
目的とする装置開発が実現されれば、眼底造影検査において非侵襲な測定法であることは社会的意義も大きく、新事業創出への波及効果も期待できる。

3)評価のまとめ

 非浸襲的眼底血管診断方法として、社会的意義も大きく期待される技術ではあるが、解決すべき課題も多く、さらなる革新的な技術開発が望まれる。眼科医と連携し、早期に臨床での検討を進めていく必要がある。


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