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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

11指先の情報による血圧などの生体情報測定システム(MCBY)のIC化試作

企業名 メディカルトラスト株式会社
研究者(研究機関名) 陳 文西(会津大学 大学院コンピュータ理工学研究科 上級准教授)

1)独創モデル化の概要及び成果

 モデル化では、従来のMCBY(指先で計測するBOX型健康測定システム)が手のひらサイズのBOX型であり携帯性・汎用性に欠ける問題があったため、その機能を維持したまま小型IC チップ化する開発を行なった。
 その結果、センサーに指先を当てるだけで、血圧、心拍数、血中酸素飽和度、心電等の複数の生体情報を高精度に連続測定することが可能な機能が盛り込まれた小型ICチップ化の実現に成功した。
 今回ICチップへのサイズダウンを実現したことにより、携帯電話や家電製品、自動車など、より日常生活に近い分野への搭載が可能となった。特に携帯電話と連携することは、日常生活のいかなる時でも連続的に生体情報を測定することを可能とするとともに、将来的に測定したデータを通信経由で送信することにより、遠隔医療への利用や医療機関からの診断をオンラインで行えるようになる等、非常に大きな可能性が期待される。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
モデル化の目標としていたICチップの試作は成されたが、携帯電話への組み込みやデータの信頼性などに課題を残しており、当初目標には到達していない。

(イ)知的財産権等の発生
特許の出願はされておらず、特許性の期待ができるかも疑問である。

(ウ)企業化開発の可能性
医療機器メーカーとの連携を行うための基礎データは入手されたものと思われるが、企業化へ向けたデータ取得についてまだ不充分であり、且つ具体的なビジネスプランが求められる。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
達成可能な測定精度、小型化の程度によって可能な使用形態が制約を受けると思われ、現時点ではまだ完成度は低いが、当初目標の指先からの生体情報の入手と携帯電話を用いた方式については、ユビキタス健康社会の基盤要素技術として社会的意義は大きい。

3)評価のまとめ

 測定精度の検証からセンサー開発も含め、他企業と積極的に連携して開発を進めていく必要があるものの最終製品の独創性は高く、本モデル化事業で開発された小型ICチップを基礎に当初目標が達成されれば、新事業創出への可能性が大きく、今後の展開が期待される。


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