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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

標的指向性を有する遺伝子導入用炭酸アパタイトナノ粒子の実用化

企業名 有限会社セラジックス
研究者(研究機関名) 赤池 敏宏(東京工業大学 大学院生命理工学研究科 教授)

1)独創モデル化の概要及び成果

 炭酸アパタイトをナノ粒子化することで、細胞に導入したい遺伝子(DNA,siRNA)と混合するだけで非常に効率よく、細胞への遺伝子導入を飛躍的に効率化するより高度な細胞・組織指向性を持つ炭酸アパタイトナノ粒子の開発を行い、本ナノ粒子による細胞への遺伝子導入法をゲノム機能解析の有効な方法として確立することを目的とし、下記の成果を得た。
 (1)炭酸アパタイトナノ粒子の効率的な作製方法およびこれを用いた、安価で作製しやすい遺伝子導入キット作製方法の確立(2)細胞特異的な遺伝子発現効率向上(肝細胞への遺伝子導入効率60%以上)のためのナノ粒子への糖鎖修飾方法の確立(3)血清存在下におけるナノ粒子―遺伝子コンプレックスの安定性向上(4)免疫細胞、特に、樹上細胞への遺伝子導入の効率化(遺伝子導入効率30%以上)
 本成果によって、キット化という簡便な方法により、より効率的な遺伝子導入が可能となった。さらに、これまで市販の遺伝子導入剤では困難を極めた様々な組織細胞への遺伝子導入に関して、効果的な手法開発の可能性を開いた。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
概ね達成されている。

(イ)知的財産権等の発生
期間中の出願はなかったが、今後有力な特許が出願できる可能性がある。

(ウ)企業化開発の可能性
キットの作製ができたのは評価できる。
近日中に一部企業化が出来る見通し。 販売ルートは国内大手バイオ試薬販売メーカーの可能性が大きい。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
炭酸アパタイトそのものを使う系についてはビジネスは小さいが実用化される予定。
さらに特異性の高い遺伝子導入法として差別化できれば大きなビジネス展開が期待できる。

3)評価のまとめ

 実験量も豊富であり、研究費によって購入した光散乱測定装置により飛躍的に研究は進行している。細胞によっては高効率の遺伝子導入が可能であり、遺伝子導入剤としての企業化が期待できる。
 全体的に満足すべき成功と評価する。


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