独立行政法人科学技術振興機構
6.評価対象課題の個別評価
6次世代液晶パネル用透明電極及び金属(銅・銀)電極の一括同時形成プロセスの開発
企業名 | : | 日本電気化学株式会社 |
研究者(研究機関名) | : | 廣瀬明夫(大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産化学専攻 教授) 他 |
1)独創モデル化の概要及び成果
液晶パネル用ガラス基板には高精細化かつ環境に優しい電極形成プロセス技術が求められている。ここで、高精細化にあたっては液晶の動作電極である透明電極と外部出力端子である金属電極の重ね合わせ位置精度の向上が重要である。本課題では、PETフィルム、熱吸収剥離層、金属電極層、透明電極層より構成されるレーザー熱転写シートをガラス基板上に接着させた後に、2種類のレーザー光を用い熱転写シートの両側から同時照射を行い、透明導電膜と金属電極をガラス基板上に一括同時熱転写させることによりマスクレスかつ完全ドライプロセスを実現する方法を開発した。
その結果、透明電極(ITO)の回路幅30μm、回路間隔50μmを一括同時レーザー熱転写方法で実現した。本方法は、次世代ITO代替膜への対応性もあり、環境に優しい画期的なフレキシブル生産システムである。また、イニシャルコストおよびランニングコストが従来プロセスの1/3程度であり、更には液晶パネル以外への用途展開も見込める画期的プロセスである。
2)事後評価
(ア)モデル化目標の達成度
高精細化の仕様である「L/S※」の未達成など、目標達成度に不十分なところがある。
※L/S:ライン・アンド・スペース(回路の線幅と線間スペース)
(イ)知的財産権等の発生
1件の出願はあるが、本技術の優位性、産業適用によってその重要度が変わる。
本発明が有効発明となるにはこの技術の新たな適用産業を発掘する必要があるが、その可能性は低い。
(ウ)企業化開発の可能性
工業技術の進化の方向(「ウエットプロセス」から「ドライプロセス」)は理にかなっているが量産の方向(「マスク使用」から「マスク不使用」)は理にかなっていない。
上記
の量産化の欠点が提案された技術の更なる進化によって解決できるとは考えられない。
上記の理由から今後の企業化開発の可能性はきわめて低い。
(エ)新産業及び新事業創出の期待度
開発した技術の第1の課題は量産性である。この技術が適用できるのは試作品等の限られた分野である。
この技術は液晶製造の重要なプロセスに適用を考えているが、液晶製作プロセスを大きく変える技術とはならない。
量産を目的とした新産業、新事業創出の期待度は低い。
3)評価のまとめ
技術としての狙い(対環境)は興味深いが、液晶パネルの量産品製造のプロセスに適用するには価格の点で困難である。
本技術は試作品製作などの限定されたプロセスの適用となる。
この技術が量産プロセスで生き残るには液晶以外の分野を見出す必要がある。