トップ独創モデル化事後評価報告書評価報告書目次>個別評価


 

「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成18年度採択課題 事後評価報告書

平成19年10月

独立行政法人科学技術振興機構

 

6.

評価対象課題の個別評価

 3高解像度遺伝子発現解析法(HiCEP)による多検体比較解析システムの開発

 

 

企業名

:メッセンジャー・スケープ株式会社

研究者(研究機関名)

:齋藤 俊行(放射線医学総合研究所 先端遺伝子発現研究センター)

 

1)

モデル化の概要および成果

 疾患の早期診断や個別化医療実現のためには多様なバイオマーカーが必要であるが、細胞内mRNA発現情報の解析に、網羅性・再現性・信頼性に優れた遺伝子発現解析技術HiCEPを利用すれば、マーカー遺伝子開発の促進が期待できる。

本モデル化では、多検体からのHiCEP測定データを統計処理、データマイニングし、マーカー候補転写物を抽出出来るソフトウエアを開発することにより、既存のDNAマイクロアレイ等では実現出来なかった高い測定精度・信頼性で、かつ迅速にマーカー候補転写物をスクリーニングする遺伝子マーカー探索システムの構築を行った。

その結果、HiCEP法で得られるピークデータ、波形間距離データを使用し、有意な変動ピークの抽出、癌−非癌といった試料の分類、試料属性の判定を効率的かつ合理的に行うことが出来るマーカー探索が可能になった。

2)

事後評価

1

モデル化目標の達成度
 HiCEP測定データから計算されたマーカーピークデータを使用した分類アルゴリズムでは目標を達成したが、同じく波形距離データを使用したアルゴリズムでは、解析対象の個体間での発現変動が大きい場合に、目標を達成出来ていない。全体として基本的な部分は所期の目標はほぼ達成されている。

2

知的財産権等の発生
 特許出願の準備中である。

3

企業化開発の可能性
 既に試作ソフトウエアを用いて、従来法では診断困難なアルツハイマー病分野等への探索研究を専門の臨床医と協力しながら進めており、企業化の可能性が期待される。

4

新産業及び新事業創出の期待度
 本手法の高精度化が確立されれば、新産業創出が期待できる。また、社会的意義も認められる。

3)

評価のまとめ

 遺伝子発現解析技術HiCEPから得られた高精度な発現量データを多検体で解析できるソフトウエアを試作し、目標を概ね達成して各分野への期待値は大きいが、個体差問題など克服すべき課題も明らかとなり、今後の更なる改良を期待する。

今回新たに見出された波形間距離に基づくデータマイニング手法は、波形パターン自体を「バイオマーカー」として活用するものであり、他に類似手法のない独自性の高いものであるため、実用化時の波及効果は大きいと思われる。

 

戻る

次へ


目次に戻る


This page updated on Oct. 15, 2007
Copyright©2007 Japan Science and Technology Agency.
www-admin@tokyo.jst.go.jp