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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成18年度採択課題 事後評価報告書

平成19年10月

独立行政法人科学技術振興機構

 

6.

評価対象課題の個別評価

 16 レーザー吸収剤の熱膨張圧を利用した、オルガネラ用キャピラリーインジェクターの実用化開発

 

 

企業名

:ネッパジーン株式会社

研究者(研究機関名)

:東山 哲也(東京大学 大学院理学系研究科)

 

1)

モデル化の概要および成果

 マイクロインジェクション法は、狙った細胞に様々な物質を導入するための重要な細胞工学手法である。しかし、シリンジ等で加圧する従来法では、インジェクション圧の限界から、先端径が最低でも1μm程度必要という技術的制約が存在した。このため対象となる細胞種が、ヒトの培養細胞など、ごく一部に限られていた。

そこで本課題では、レーザー吸収剤の熱膨張圧によりインジェクションを行う装置の実用化を目指した。この方法は、極めて高いインジェクション圧を発生できることから、先端径がわずか0.1μmのキャピラリーによる精密なインジェクションを可能とする。

本課題において、最適レーザーおよび吸収剤の調査・開発を推進したところ、具体的目標として掲げていた、価格200万円未満での販売が可能な高性能装置の開発に成功した。この装置で、実際に動物・植物・菌類など幅広い生物種の、微小細胞やオルガネラへのインジェクションに成功した。

2)

事後評価

1

モデル化目標の達成度
 装置の試作などに関する目標は達成されている。また、数値目標に関する達成度を裏付けるデータも示されており、当初目標は達成されていると評価できる。

2

知的財産権等の発生
 現時点での出願はない。

3

企業化開発の可能性
 技術上の疑問点は再現性である。パルスレーザーではshot-to-shotの光出力精度は数%もしくはそれ以上になる。注入体積は光出力に依存しているので、その精度が反映される。実験で確認し、再現性の問題をクリアできれば企業化の可能性はある。

4

新産業及び新事業創出の期待度
 細胞生物学および医学関係の実験に有効であり、市場は研究者市場となるため、大きな市場は望めず新産業創成は困難と思われる。ベンチャー企業の事業創出には有効。また、医学生物学の発展にも寄与する技術。

3)

評価のまとめ

 目標は達成されており、医学生物学関係の実験技術として同分野の発展に貢献する装置の実用化が期待される。

 

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This page updated on Oct. 15, 2007
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